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スタバ、全米7500店舗に非接触充電スポット設置へ - 規格争いに大きな影響

2014.06.12

Updated by WirelessWire News編集部 on June 12, 2014, 16:10 pm JST

大手コーヒーチェーンのスターバックス(Starbucks)が米国時間12日、全米に約7500店ある同社の店舗(お茶専門店の「Teavana」を含む)に非接触充電スポットを設置する計画を明らかにした。携帯端末向けの非接触充電技術をめぐって続いているPower Matters Alliance(PMA)とWireless Power Consortium(WPC)との規格争いに影響が生じる可能性があるという。

スターバックスが導入を発表した「パワーマット・スポット」(Powermat Spots)は、PMA方式の充電装置をカウンターやテーブルの表面に埋め込んだもので、同社では1店舗あたり10基以上の充電スポットを設置する考え。また同社では西海岸の一部から導入を進め、来年には全米の主要な都市圏にも展開していくなどとしているという。

スターバックスの利用客は、この充電スポットを無料で使える。同社が一部の店舗で実施してきた実験では、平均15分程度で利用可能な電力が充電されていたという。

モバイル端末などの充電を想定した非接触充電技術の分野では、電磁誘導方式(inductive charging)の異なる技術を推すWPCとPMA、それに共鳴方式(resonant charging)の技術を推すA4WPの三者が規格標準化をめぐる争いを続けてきていたが、昨年9月にはA4WP設立メンバーのクアルコムが「Qi」陣営の理事会入りを発表、また今年2月にはPMAとA4WPが規格標準化で協力することで合意していた。

PMAはイスラエルのベンチャー企業パワーマット(Powermat Technologies)が開発した技術。同社は米国での展開を視野に、2011年にP&G傘下のデュラセル(Duracell)とジョイントベンチャーを設立。このデュラセル・パワーマットが主要メンバーとなって2012年に立ち上げた業界団体PMAには、現在AT&T、クアルコム(Qualcom)、ソニー、サムスン、東芝など72社が参加。また大手自動車メーカーのゼネラル・モーターズ(GM)ならびにスターバックスも早い時期から同方式の支持を表明していた。

いっぽう、WPCが推す「Qi」方式の技術は、すでにグーグル(Google)の「Nexus 5」やノキア(Nokia)製「Lumia」シリーズ、それにNTTドコモの扱うシャープや富士通製のスマートフォンなどでも採用されている。またWPCの会員数は昨年末時点であわせて188社。

携帯端末用の非接触充電技術の普及が期待されたほど進んでいない理由のひとつとして、外出先での利用機会が限られていることがよく挙げられる。Wi-Fiの普及でも大きな役割を果たしたとされるスターバックスが具体的な計画を打ちだしたことで、今後PMA方式に対応する端末やアクセサリー製品などが登場する可能性が高まることも予想される。


[Duracell Powermat wireless charging in NYC McDonald's]

【参照情報】
National Rollout of Wireless Charging, by Duracell Powermat, Begins in Starbucks Stores - Starbucks
Starbucks starts rolling out wireless phone chargers nationwide - The Verge
Starbucks Charges Into Wireless Charging - WSJ

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