P2P、M2M、O2O、B2Cのようにローマ字を2(=to)でつなぐ組み合わせは少なくとも26×26=676通りある。いくつまで暗記できるか心配になってくるが、モバイル・マーケティングの領域で最近注目されているのがA2Pだ。アプリケーション・トゥ・パーソン(application to person)の略で、企業から消費者に向けてSMSのメッセージで情報を送ることで企業と消費者の間のインタラクションを開始する仕掛けのことを指す。ネットバンキングからの通知、旅客機のフライト情報やチェックインを促すメッセージ、クーポン、リマインダーなどをショートメッセージや、スマートフォン/タブレットのアプリの通知機能で消費者に伝える。
例えば、1999年にロンドンで創業されたmBlox社(カリフォルニア州サニーベール)は、同社が「モバイルCRM」と称するA2Pプラットフォームを法人向けに提供している。フランス、スペイン、ドイツ、スウェーデンに展開した後、中南米、南アフリカに進出していて、モバイル・オペレーター800社と手を結んでいる。2013年にアトランタ拠点を作って、シンガポールや東京、プラハなどアジアや東欧への進出も狙っている。これまで各国のモバイル・マーケティング会社を買収して成長してきており、最近もアメリカのCardBoardFish社とZoove社の買収を発表している。
モバイルCRMを利用して、金融機関ならカードの支払リマインダー、薬局チェーンなら処方薬の準備完了(受け取りに来てください)メッセージなどを送れるし、消費者の位置情報を使ってクーポンなどのプロモーション用メッセージを送れる。
日本では、LINE ビジネスコネクトを利用して同様のサービスが可能だが、LINEは「O2Oソリューション」をアピールしている。このようにO2OとA2Pはオーバーラップしている領域が広いため、A2Pという用語は日本では拡がらないかもしれない。
【参照情報】
・mBloxのウェブサイト
・mBlox Expands Geographic Footprint Strengthens Executive Team
・Mobile technology firm mBlox raises $43.5M
・Mblox Acquires CardBoardFish and Zoove
・【LINE】LINE、グローバル市場での更なる成長に向け、「BEYOND LINE」をテーマに3つの新サービスを発表
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