リカちゃん電話とは、昭和43年に始まったテレフォンサービスで、ある電話番号に電話をかけると、人形のはずのリカちゃんが話しかけてくれる(=録音が再生される)というサービス。あと4年で歴史が半世紀に達する長寿サービスである。
幼い女の子がリカちゃんと話せた(=声が聞けた)と喜ぶ姿は可愛いだろうが、もしも大人が「銅像から電話がかかってきた」と言い出したら、正気かどうか疑わざるを得ないだろう。ロンドンではそういう事態が起こっているかもしれない。
8月19日にはじまった「Talking Statues」は、Sing Londonという非営利団体がAntenna International社の技術提供を受けて始めた1年間の期間限定プロジェクト。ロンドンとマンチェスターに設置されたヴィクトリア女王、シェイクスピア、アイザック・ニュートンなどの歴史上の人物やシャーロック・ホームズなど35の像の台座に設置されたデバイスにNFC機能付きスマートフォンをかざしたり、カメラでQRコードを読み取ったり、あるいはURLを打ち込んだりすると、銅像から電話がかかってくる。
▼マンチェスター内の地図(PDF)
ウェブサイトには、「もし銅像が話せたら、彼らはどんな物語を語るだろう?(IF STATUES COULD TALK, WHAT STORIES WOULD THEY TELL?)」と書かれている。英国のライターがシナリオを書き、俳優が音声を吹き込んでいる。18世紀のイギリス文壇の大御所、サミュエル・ジョンソンならば彼が編纂した「英語辞書(Dictionary of the English Language)」について語ってくれるという。
2007年設立のSing Londonは2009年にはロンドン市内に誰でも演奏できるピアノを、オリンピックのあった2012年には卓球台を、はたまた喋るゴミ箱を市内各所に置くなど、さまざまなイベントを仕掛けてきている。
今回のTalking Statuesのプロジェクトでは、人だけでなく、「ディック・ウィッティントンと猫」という14世紀から語り継がれる物語に登場する猫も電話をしてくれる。
【参照情報】
・Sing Londonのウェブサイト
・Talking Statuesのウェブサイト
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