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ドコモ、グリーン基地局で発電した電力を活用する「パワーシフト制御」の実験に成功

2014.10.06

Updated by Naohisa Iwamoto on October 6, 2014, 18:01 pm JST

NTTドコモは2014年10月6日、太陽光発電を活用する「グリーン基地局」のフィールド実験で、「パワーシフト制御」の実証に成功したと発表した。パワーシフト制御とは、昼間に太陽光発電で発電した余剰電力を蓄電し、夜間や災害時などに活用するもの。実験により、基地局の電力自活率を10%向上させることができた。

グリーン基地局は、ソーラーパネルを使った太陽光発電で自立的に日中の電源を確保するとともに、大容量サイクル型蓄電池によるバックアップ機能も備える基地局。2013年4月以降に関東甲信越地方に10局を設置してフィールド実験を行っている。しかし、従来型のグリーン基地局では、太陽光発電で発電する電力が基地局の使用する電力を上回った場合の「余剰電力」を利用する仕組みが整っていなかった。今回、余剰電力をリチウムイオン電池に充電し、さらに基地局の特性に合わせた充電/放電の制御を行うことで、昼間に発電した電力を他の時間帯で利用する「パワーシフト制御」を実現した。

実証の結果、災害時などに商用電力の供給が途絶えたときに基地局の予備電力で運用できる時間を、パワーシフト制御の導入により従来の6時間から10時間に伸ばせることが明らかになった。また、基地局が消費する総電力のうちソーラーパネルが発電する電力が占める割合である「自活率」を20%から30%へと引き上げることができた。商用電力の使用量を10%削減可能で、ドコモでは「火力発電などで発生する温室効果ガスの削減などに貢献」できるという。

今後、現在は10局のフィールド試験局を全国に拡大するとともに、グリーン基地局と「パワーシフト制御」の効果を検証する。ドコモでは、2016年度までに自活率を5割程度まで拡大することを目標に掲げている。

【参考資料】
「フィールド実験」の概要(PDF)

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。