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「ISPを公益事業に」- オバマ米大統領、FCCにネット中立性ルール強化を要請

2014.11.11

Updated by WirelessWire News編集部 on November 11, 2014, 11:56 am UTC

オバマ米大統領が米国時間10日、ケーブルテレビ会社や電話会社などが提供するインターネット接続サービス(ISP)事業について、これらの事業を「公益事業」に分類し直すよう求める要請を米連邦通信委員会(FCC)に対して行った。またこれまで同ルールの適応外とされていた携帯通信によるブロードバンド・サービスについても、適応範囲に含めることを求めたという。


[President Obama's Statement on Keeping the Internet Open and Free]

米国のISP事業はいまのところ「情報サービス」(「Information Services」)に分類されているが、仮にこれが電話と同じ公益事業=「通信サービス」(「Telecommunications Services」)に分類し直されることになると、FCCはネットワーク中立性のルールをISP事業者に課す法的根拠を手にすることになる。但し、大手の通信事業者各社などは以前から「ブロードバンド事業でも電話並みにサービスの内容・品質や料金などまで規制を受けることになれば、収益増大の余地も限られてしまう懸念が高まり、ブロードバンド網整備にかかる設備投資も手控えざるを得なくなる」などとする反論を展開していた。

FCCは2010年暮れに、ネットトラフィックの差別的取り扱いの禁止などを盛り込んだ「ネットワーク中立性」("Net Neutrality")のルールを発表していたが、この動きに対して異議を唱えるベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications)が、同ルールをISP事業者に課す権限がFCCにはないなどとして提訴し、今年1月にはこのベライゾンの主張を認める判断が米連邦控訴裁で下されていた。それ以来、FCCでは同ルールの見直しを進める動きが続いてきている。

FCCは4月下旬に、同ルールの規制を緩和する内容を盛り込んだ新たな提案を発表していたが、そのなかにISP事業者が特定のウェブサービスからのトラフィックを優先的に取り扱うこと(いわゆる「ファーストレーン」の提供)を認める項目が含まれていたことから、それが実施された場合に直接的な影響を受ける可能性が高いウェブサービス事業者や彼らを後押しするベンチャーキャピタリストのほか、連邦議員や消費者団体などからも批判の声が上がっていた。またこの提案に対しては約370万件のパブリックコメントが寄せられていたが、そのほとんどが「ファーストレーン」に批判的とする話も報じられていた。

こうした動きを受けて、先月下旬には、FCCがインターネットのバックエンド(「ホールセール」)部分については公益事業に準じる規制を課すいっぽうで、ISP事業者と加入者をつなぐネットワークの「リテール」部分については「ファストレーン」の導入を認める「ハイブリッド型」の新たな提案を検討しているとする話が複数の媒体で報じられていた。ただし、この「観測気球」に対しても多くの媒体で否定的な反応が示されていた。

オバマ大統領は以前からネットワーク中立性ルールの維持を主張してきており、今年8月には「次のグーグル(Google)やフェイスブック(Facebook)が登場できるようインターネットをオープンな状態に保つべき」などとして、ISP事業者によるファーストレーン導入に難色を示す発言を行っていた。また10月には、カリフォルニア州で行った演説のなかで、ISP事業を公益事業として取り扱うべきとする考えを示してもいた。

オバマ大統領は、今回の声明のなかで、FCCに対して下記4つの指針を示している。

・ISP事業者による合法的コンテンツのトラフィックのブロック禁止
・ISP事業者による意図的なトラフィックの速度制限禁止
・トラフィック経路に関する透明性の増大
・ISP事業者による有料ファーストレーン提供の禁止

また同大統領は、現在ネットワーク中立性ルールの適応外とされているモバイル・インターネットサービスに関しても、同ルールを適応できるようにすることを求めている。

これに対し、FCCのトム・ウィーラー(Tom Wheeler)委員長からは、大統領の要請を歓迎するなどとする声明が出されている。ただし、FCCは独立した監督機関であるため、大統領の意見と対立する判断を下すことも可能で、今回の要請に対しても「大統領の意見も検討材料のひとつとする」との控えめな反応に留まっている。

いっぽう、コムキャスト(Comcast)、ベライゾン、AT&Tといった各社からはオバマ大統領の要請に異議を唱える内容の声明が出されており、携帯通信事業者の団体であるCTIAからは、ネットワーク中立性のルールを携帯通信分野にも適応することを求める大統領の考えを「時代錯誤的なもの」などとするメレディス・アトウェル・ベイカー(Meredith Attwell Baker)CEOーー共和党派の元FCC委員ーーの声明も出されている。またT-モバイル(T-Mobile)のジョン・レジャー(John Legere)CEOも「FCCによる過度の規制で、市場の競争原理が働くなる」といったツィートをしている。

先週あった中間選挙で、上院でも過半数の議席を押さえた共和党陣営からも、FCCによる規制強化に反対する声が挙がっており、たとてば2016年大統領選の有力候補のひとりとされているテッド・クルーズ上院議員は「ネットワーク中立性は(失敗に終わった医療改革の)オバマケアのインターネット版になる」などとするツィートをしている。

【参照情報】
Net Neutrality: President Obama's Plan for a Free and Open Internet - Whitehouse
Chairman Wheeler's Stmt on President Obama's Stmt On Open Internet - FCC
Obama says FCC should reclassify internet as a utility - The Verge
Obama's plan to save the internet draws bold reactions - The Verge
Do you want net neutrality or not, John Legere? - The Verge
Obama Calls for Strict Net Neutrality Policy - NYTimes
President Obama Isn't Down With the FCC's Net Neutrality Proposal Either - Re/code
Obama pans internet fast lanes, as calls increase to treat broadband as "public utility" - GigaOM

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