ソニー、クラウドベースのテレビ配信サービス「PlayStation Vue」を発表
2014.11.14
Updated by WirelessWire News編集部 on November 14, 2014, 11:29 am JST
2014.11.14
Updated by WirelessWire News編集部 on November 14, 2014, 11:29 am JST
ソニーが米国時間13日、「PlayStation Vue」というインターネット経由のテレビ番組配信サービスを発表した。今月からニューヨークなどの一部の地域でベータ版のテストを開始し、2015年第1四半期の本格サービス開始を目指すという。
[Internet TV Comes to Sony's PlayStation - Bloomberg]
「PlayStation Vue」は、いわゆる「Over-The-Top(OTT)」に分類される映像配信サービスで、ユーザーが既存のケーブルテレビや衛星テレビに加入していなくても、ライブ放送を含むテレビ番組を視聴できるのが特徴。現時点では、CBS、Fox、NBCUniversal、Discovery Communications、Viacomなどの大手メディア企業傘下のテレビ局を含め、あわせて75のチャネルが番組を提供する予定だが、有料テレビ加入の大きな誘因とされているスポーツテレビ局ESPN(Walt Disney傘下)や、数多くの人気ドラマを製作・保有するHBO(Time Warner傘下)などは参加を見送っている。
また「PlayStation Vue」の利用料金は明かされておらず、ケーブルテレビや衛星テレビと比べて、どの程度魅力のある料金設定になるかが今後の注目点のひとつとされている。
ソニーは今年はじめの「CES 2014」で「PlayStation Vue」の構想の一部を明らかにしていた。同サービスでは、「PlaySation 3」「同4」のユーザー向けに、クラウド上に設けた仮想デジタルレコーダーから番組を配信する形を取り、番組のオンデマンド配信に加えてライブ放送も視聴可能になるほか、ユーザーごとに最適化されたチャンネルを編成する機能や、録画した番組を放送後28日間保存する機能なども提供されるという。さらに、将来的にPlayStation端末以外に、「iPad」やその他の端末でも利用可能にすることが想定されているという。なお、Fortuneによると「PlaySation」端末のインストール台数は、「同3」が約8000万台、「同4」が約1700万台だという。
OTTの有料テレビ(仮想ケーブルテレビ)サービスは、過去にインテルが子会社を通じて実現を目指した例などがあったが、既存のケーブルテレビ事業者などとの兼ね合いから、番組を提供するテレビ局との交渉ーーコンテンツ取得に関わる条件や料金の高さなどが障害となることが多いとされていた。いっぽう、オンディマンド配信最大手のネットフリックス(Netflix)では第3四半期に加入者数が全世界で5000万人(そのうち米国が約3630万人)を越え、オリジナル番組の製作・配信も本格化させている。また、単独のOTT配信に長らく消極的な姿勢を続けていたHBO(加入者数約3000万)でも、来年をメドにネット単独のストリーミング配信サービスを始める考えを先ごろ明らかにしていた。
ソニーが「PlayStation Vue」でテレビ局各社に支払う金額などは明らかになっていないが、今回の発表でひとまず大手を含む一部のテレビ局がOTTサービスへの番組提供に前向きであることが確認された。そのことから、今後AppleやGoogleを含む各社でも本格的なOTTテレビ配信サービスに乗り出す可能性が高まったとするアナリストの見方がFortuneでは紹介されている。
【参照情報】
・Sony debuts PlayStation Vue, a cloud-based TV service - Fortune
・Sony to Introduce Web-Based TV Service, PlayStation Vue - NYTimes
・Sony's PlayStation Vue is a cloud-based TV service designed to kill your cable box - The Verge
・Do Cord Cutters Want Game Consoles? Internet TV Comes to the PlayStation
- Businessweek
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