寒いです。仕事道具のMacBookAirが急激に人肌から熱を奪う凶器となって牙を剥き始める季節でもあります。正直どうにかしないと年が越せません(切実)。
さて今の季節は老若男女、体にこたえる季節でもあります。悲しいお知らせがやってくることも増える季節でもあります。この医療技術と防災設備の発達した現代でもそうなので、一昔前まではその足音の怖さたるや、言葉ではいい知れない寒気を感じたに違いありません。
江戸から続く季節の風物詩として身近な音は「火ーの用心!」という声と共に聞こえてくる拍子木の音です。一部地域では騒音認定されて消滅しつつあるそうですが。
カンカン、という高い音を出すことで、人の注意を引くという意味合いはもちろんありますが、拍子木には魔除けの意味があります。お守りにもなっています(参考例:平成25年度 神田祭 拍子木御守)。
金属音というのも、祓いの力があると言われています。欧米の映画やドラマで結婚式後ハネムーンに向かう車の後ろに空き缶をガラガラ付けて走り去る風景がありますが、単なる賑やかしでは無くて、悪霊を寄せ付けない効力があると言われているからだそうです。
もともとはアメリカで"結婚式を挙げたふたりがハネムーンに向かっていること"を象徴するものとして、後ろに空き缶をくくり付けたり、フロントや側面をお花のリースなどで装飾したりして使われていました。空き缶を鳴らすことで、その幸せな気持ちを周囲に伝えるほか、"騒々しい音を立てて、悪霊が近づかないようにする"といったげん担ぎの意味も込められています
ものすごい手作り感ですな。どなたか存じ上げませんがおめでたい感じはわかる!
もういくつ寝ると大晦日ですが、除夜の鐘は煩悩を祓うと言われています。年末年始お仕事で忙しい方には浄土宗さんのホームページでWeb除夜の鐘できるので、この機会に是非ご自分でついてみてください。ところで「年末年始は、プレゼント付きになります。ご期待を!!」って何が起こるんですか浄土宗さん。何時から何時までが年末年始なんですか浄土宗さん(しつこい)。
一方、神道系で思い出される魔を祓う「音」といえば、鳴弦の儀、梓弓でしょうか。お正月に破魔弓を贈る習慣もあるように、弓と破魔は密接な関わりがあります。
6分くらいから見ていただくと良いかと(弦の音よりかけ声の方が大きいことにはこの際目をつぶってください)。
神社で巫女さんがしゃらしゃら振る神楽鈴の歴史は、戦後からと意外に浅いようですが、金属製の鈴そのものは奈良時代の古より伝わり、これも魔除けとして建物や持ち物などに付けられました。
「声」にももちろん、魔除けの力があると考えられていました。これは「言葉」という付加情報があるので、より強力なメッセージとして機能しますが、これは祓いにもなれば呼び寄せにもなる諸刃の剣。
閑話休題。では現代の魔除けの音は?といえば、こんな音が主流かと。
「どうにも音に色気が無い」と感じてしまうのは、単なる好みです......。
それでは皆様、冷え込む夜の折、寒さとイヤな思い出は魔除けの音で祓って、良いお年をお迎えください!
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青山学院大学史学科、東京藝術大学声楽科、京都造形芸術大学ランドスケープデザインコースを卒業。京都造形芸術大学大学院芸術環境専攻(日本庭園分野)修士課程修了。通信キャリアにてカスタマサービス対応並びにコンテンツ企画等の業務に従事、音楽業界にてウェブメディア立ち上げやバックヤードシステム開発、コンサート制作会社での勤務を経て、現在はフリーのヴォーカリスト、ヴォイストレーナー、エディター、ライター。
http://kanoppi.jp