【MWC 2015】ノキア、仮想化の概念を基地局まで拡大した「Nokia Radio Cloud」をデモ
2015.03.04
Updated by Naohisa Iwamoto on March 4, 2015, 09:22 am JST
2015.03.04
Updated by Naohisa Iwamoto on March 4, 2015, 09:22 am JST
スペイン・バルセロナで開催中のMobile World Congress 2015(MWC 2015)で、ノキアはNFV(Network Functions Virtualization)の考え方を基地局にまで拡張した「Nokia Radio Cloud」の展示を行っている。コアネットワークだけでなく、無線基地局の一部まで仮想化の対象を広げるものだ。
NFVでは、一般にEPC(Evolved Packet Core)やIMS(IP Multimedia Subsystem)、ゲートウエイなどのパケットコア側のネットワーク機能を仮想化し、汎用のハードウエア上で利用できるようにする。Nokia Radio Cloudは、この考え方をRAN(Radio Access Network)にまで拡張したもの。無線基地局の機能の一部をクラウド化することで、変化する通信状況に最適化した運用が可能になる。無線基地局の機能は、「無線機器とアンテナ」と「クラウドサイトに実装したeNodeBの機能」に分けて、その間を従来のOBSAIやCPRIに加えてイーサネットによるIP接続で結ぶことを可能にした。
デモでは、無線機器/アンテナとクラウドの間を実際にイーサネットで接続し、eNodeBの機能をクラウド化した状態で、実際のLTEのスループットを示した。最大300Mbpsとなる20MHz×2のキャリアアグリゲーションで40MHzの帯域幅を確保した場合は280Mbps以上、最大150Mbpsとなる20MHzの帯域幅で140Mbpsの以上のスループットが得られていることを示した。
また、基地局の機能を仮想化することで、ハードウエアリソースを適応的に有効活用できることを示すデモも行った。Nokia Radio CloudではeNodeBの機能は、データセンターとアンテナ近くの分散クラウドに分散して稼働させることが可能。昼間のオフィス街や夜の住宅街といったトラフィックが集中する場所の基地局に対しては、データセンターからリソースを割り振ることで処理能力を向上させられる。これによりリソースの有効活用を自動化できるという。
Nokia Radio Cloudは2016年の初旬に提供を予定している。基地局も含めた仮想環境を提供することで、ノキアのポートフォリオが先進的なハードウエアから、一層ソフトウエアにシフトしていることを具体的に示す展示が行われたと考えられる。
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登録はこちら日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。