【MWC 2015】ドコモ、NFVによる効率化をデモ、スマホ内蔵型の「ポータブルSIM」も実演
2015.03.05
Updated by Naohisa Iwamoto on March 5, 2015, 09:56 am JST
2015.03.05
Updated by Naohisa Iwamoto on March 5, 2015, 09:56 am JST
NTTドコモはスペイン・バルセロナで開催中のMobile World Congress 2015(MWC 2015)で、商用化を発表したネットワーク仮想化(NFV)や、SIMに記録されている情報を他の機器でも使えるようにする「ポータブルSIM」の実用化に向けての取り組みを、デモを交えて展示している。
ドコモは、2016年3月に商用ネットワークでNFVの利用を開始する計画だ。MWC 2015を前にした報道発表で、NEC、富士通、エリクソンによるマルチベンダー環境で商用化を進めることをアナウンスしており、会場でも早期のマルチベンダー環境の商用化をアピールしていた。EPCソフトウエアはNECと富士通が担当、仮想化管理システムと仮想化レイヤーはエリクソンが担当するという分担である。富士通はノキアのEPC製品をインテグレートすることで、EPCソフトウエアを構成する。
デモでは、NFVを使うことで都市部と郊外部における昼間と夜間のトラフィック変動に、自動的に対応出来る様子を示した。具体的には、都市部と郊外部で2セットずつのMMEを稼働させていた状態から、日中になって都市部にトラフィックが集中したときに郊外部から都市部に1セットのMMEのリソースを割り当て直すデモを行った。マルチベンダー環境では標準で定められていない条件を煮詰める必要もあり、ドコモとベンダー各社が協力して今後のマルチベンダーNFVの実用化へ向けた道筋を付けたい考えだ。
MWC 2015のポータブルSIMの展示では、単体のポータブルSIMだけでなく、スマートフォンにポータブルSIM機能を実装した試作機も使ったデモが行われた。ポータブルSIM対応のスマートフォンを使って、自動車の車載端末にNFCを使ってタッチすると認証が行われ、SIMを持たない車載端末に電話番号や利用者の情報が移って通信やナビの利用が可能になる様子を示した。また、SIMの認証機能を使ってカギとして利用できることも示した。
ドコモはAndroid端末向けのポータブルSIMアプリ開発。これと連動してSIMを制御するソフトウエアをクアルコムが開発し、2015年夏モデルのスマートフォンなどに向けてクアルコムが提供するチップセットに同ソフトウエアを搭載することが決まっている。このため、ポータブルSIMに対応する機器の開発が用意になり、今後のIoT(モノのインターネット)の通信や認証のインフラとしての活用に期待が高まる。
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちら日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。