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グロービス杯世界囲碁U-20:若手囲碁で強い中国、韓国勢。がんばれ日本!

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2015.05.15

Updated by Hitoshi Sato on May 15, 2015, 10:53 am JST

若手棋士の世界一を決める「第2回グロービス杯 世界囲碁U-20」が2015年5月8日~10日まで東京都千代田区のグロービス経営大学大学院にて開催された。これは日本で唯一開催される世界で初めての20歳未満の世界棋戦である。

2015年1月1日時点で20歳未満の世界から集まった各地区代表16人が出場し、1手30秒以内に打つ早碁形式で行われた。日本勢は第1回優勝の一力遼七段ら6人が出場した。他には中国から3人、韓国から3人、中華台北(台湾)1人、欧州代表1人(スロバキア)、北米代表1人(アメリカ)、アジア・オセアニア代表1人(タイ)の海外勢が参加した。

決勝は5月10日に行われた。中国の黄雲嵩三段が112手までで、韓国の羅玄六段に白番中押し勝ちし優勝した。日本勢は余正麒七段、佐田篤史二段の8強が最高だった。

昨年は日本代表の一力遼七段が優勝したことから、二連覇も期待されていたが、今回は中国の黄雲嵩三段が1位、韓国の羅玄六段が2位、中国の李欽誠二段が3位だった。欧州や北米、アジア地域からの参加者がいることからも見られるように、囲碁は世界中に広く伝播しており、今回の大会でも活躍が目立った中国や韓国は日本よりも強くなっている。

日本の代表として一丸となって戦うナショナルチーム「GO 碁 ジャパン」が2013年に結成された。囲碁の世界普及では故岩本薫先生が設立された囲碁センターがニューヨーク、シアトル、サンパウロ、アムステルダムの4ヵ所にあり日本棋院では海外拠点とも連携して囲碁の国際普及に努めている。

さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックではスポーツ競技以外に文化発信の重要性が認識されはじめている。現在、「世界アマチュア囲碁選手権」が日中韓で持ち回り開催されており、2020年前には日本で開催予定であることもあり、囲碁を世界に発信する好機と捉え積極的な取り組みを行っている。

現在、囲碁は世界74カ国・地域、4,000万人を超えるまで普及している。一方で日本における囲碁人口は残念ながら年々縮小している。日中韓で囲碁を行っても、今回のように中国や韓国に負けてしまうことが多い。世界戦での日本の棋士の活躍が今後の大きな課題である。来年のグロービス杯U-20では日本の棋士が活躍することが期待される。

また「囲碁は集中力と思考力を高める」ことから、多くの小中学校でも囲碁授業が拡大し、100校近く1万人を超える生徒が囲碁に触れる機会を持っている。また、大学における正課の講座開設校が20校を超えるなど、若いうちから囲碁に触れる機会が増えつつある。日本の棋士が中国・韓国に伍していくためには出来るだけ若い囲碁人口の裾野を広げ、その中から才能豊かな人材を見出していくしかない。

囲碁をやったことがない人も多いだろう。そのような人には、スマートフォンで初心者からプロまで無料で楽しめる「囲碁クエスト」というアプリもある。対戦ゲームでいろんな棋力の人とゲームを楽しめることも特徴である。さらに、10~20分でゲームが終了するので電車などニッチな時間で囲碁を楽しむことができるため、人気がある囲碁アプリだ。「囲碁クエスト」を入門編としてはじめ、その先は本格的な19路盤としての日本棋院が運営する「幽玄の間」などオンラインでも囲碁を楽しめる時代になっている。気軽に囲碁を始めてみて、頭の訓練をしてみてはどうだろうか?

グロービス経営大学院の学長で日本棋院の理事を務める堀義人氏は、開催の挨拶で以下のように述べた。

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待ちに待った第2回目のグロービス杯がいよいよ開催されます。 昨年は、日本勢同士が16年ぶりに世界棋戦の決勝戦で争いました。第2回の今年、日本、中国、韓国、中華台北、北米、欧州、アジア・オセアニアから選ばれた16名の若手棋士たちがどのようなドラマを繰り広げるのか、非常に楽しみです。

僕は、日本囲碁界の3つの課題を解決することを目標に、日本棋院の理事に就任しました。

1)囲碁人口を増やす、2)日本の囲碁を強くする、3)スポンサー棋戦を増やす。

そしてその一環として、昨年「グロービス杯世界囲碁U-20」を創設しました。

そのグロービス杯の特徴は、3つあります。1)日本で唯一開催される世界棋戦、2)世界で初めての20歳未満の世界棋戦、そして、3)世界で唯一、MBAを発行する経営大学院の母体が協賛する世界棋戦です。

若手棋士たちが、グロービス杯の舞台で互いに刺激し合い、更なる飛躍につなげていただければ幸いです。そして、多くの日本国民、世界の人々に、囲碁に興味を持ってもらえたら、この上ない喜びです。昨年の開会式で、「グロービス杯を30年続ける」と宣言しました。グロービス杯が長い期間にわたって愛される世界棋戦に育っていくことを祈念しています。

 

▼挨拶をする日本棋院の和田理事長

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▼挨拶する囲碁大使の戸島花さん

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囲碁大使を務めている戸島花さんは舞台稽古で忙しい合間を縫って、挨拶に駆け付けてくれた。戸島さんはNHK・Eテレで「囲碁フォーカス」の司会を務めており、日ごろからTwitterやブログで積極的な囲碁の情報発信を行っている。さらに「囲碁大使の名刺」を配布して囲碁の普及に努めている。囲碁の世界では知らない人はいない有名人だ。戸島さんが囲碁大使を務めることによって女性や若者に囲碁が普及していくことが期待されている。

▼囲碁大使の戸島花さんのTwitter


【参照情報】

日本棋院
グロービス杯世界囲碁U-20

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。

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