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米チャーターによるケーブル事業者3社合併が発表に - 今後の注目は無線通信分野に

The deal between Charter and TWC is done

2015.05.27

Updated by WirelessWire News編集部 on May 27, 2015, 16:12 pm JST

昨日お伝えしたチャーター・コミュニケーションズ(Charter Communications;以下、チャーター)によるタイムワーナー・ケーブル(TWC、同2位)の買収が米国時間26日に正式発表された。またこれにあわせて、チャーターが4月に発表していたブライトハウス・ネットワークス(Bright House Networks;以下、ブライトハウス)の買収計画も引き続き進めることが確認されたことで、最大手のコムキャスト(Comcast、加入世帯数約2700万)に続く大手ケーブル事業者(加入世帯数約2390万)が誕生する可能性が高まっている。

買収金額は、チャーターからTWCへの支払額が約550億ドルで、ほかにチャーターはTWCの負債も引き受けることから合計では787億ドルと、不成立に終わったコムキャスト-TWC合併の452億ドルを大きく上回るものとなる。また合併後の新会社ニュー・チャーター(New Charter)は、TWCとチャーターの現株主が大株主となり、これにチャーターの筆頭株主であるジョン・マローン(John Malone)氏のリバティー・ブロードバンド(Liberty Broadband)ならびにブライトハウスの株主であるアドバンス/ニューハウス(Advance/Newhouse)が少数株主として加わるなど、かなり複雑な株主構成になるという。

米司法省(DOJ)や連邦通信委員会(FCC)による買収の審査はこれからだが、WSJ記事によるとFCCのトム・ウィーラー(Tom Wheeler)委員長は先ごろ、チャーターのトム・ラトレッジ(Tom Rutledge)CEOおよびTWCのロブ・マーカス(Rob Marcus)CEOに電話をかけ、「コムキャスト--TWCの件ではFCCは反対に回ったが、大手通信事業者同士の合併だからといって必ずしも反対するとは限らない」と伝えたなどとする情報筋の話も紹介されている。また新会社のCEOに就任するチャーターのラトレッジCEOも、合併発表の記者会見で、「ブロードバンド網整備に投資していく」「加入者への従量課金は今後も行わず、利用データ量の上限制限も設けない」「ネットワーク中立性のルールに抵触しそうなトラフィックのブロックや、いわゆるファストレーンの導入も行わない」などと述べるなど、合併の承認取得に向けたアピールを行ったという。なおコムキャスト--TWC合併計画の審査の際に問題のひとつとされていたブロードバンド回線(25Mbps以上のネット接続回線)の市場占有率については、コムキャスト--TWCの57%に対し、チャーター新会社は30%以下だという。

いっぽう、合併実現後にはチャーター新会社は全米41州で営業展開することになるが、新会社がこのネットワーク・インフラを利用して、Wi-Fiに軸足を置いた無線通信サービスを提供するのではないかとする見方も出ている。この可能性を指摘しているのは、GigaOM在籍時から無線通信分野をカバーしてきるFortuneのケヴィン・フィチャード(Kevin Fitchard)記者で、同氏の記事によるとチャーターのラトレッジCEOは前職のケーブルヴィジョン(Cablevision、ニューヨーク州などで事業を展開し300万弱の加入世帯をもつ業界第5位のケーブル事業者)時代から、Wi-Fi中心の無線サービスに積極的な姿勢を示していたという(ケーブルビジョンは実際に「Freewheel」という月額10ドルのスマートフォン・サービスを今年1月に発表)。またTWCとブライトハウスが「CableWiFi」というケーブル事業者の取り組みに参加していることや、同コンソーシアムに加盟する各社のWi-Fiアクセスポイントが全米に約40万箇所存在していること、TWCでは外出先でのWi-Fi網接続時の手間を軽減する「Hotspot 2.0」という技術を導入していることなども挙げている。

なお、競合するコムキャストでは加入者に対して、プライベート用に加えてパブリック用のWi-Fiアクセスポイント機能も内蔵するケーブルルーターの配布が始まっていることから、チャーター新会社でもこうした新しいルーターの普及が進めば同社の顧客が利用できるWi-Fi網のカバー範囲が大きく拡がる可能性もあるとフィチャード氏は示唆している。

さらに、Wi-Fiの電波が届かないエリアについては、グーグル(Google)の無線通信サービス「Project Fi」のように、スプリント(Sprint)あるいはTーモバイル(T-Mobile USA)の回線を借りてカバーすればよいとフィチャードは述べ、「T-モバイルやスプリントはこれまでになくハングリーになっている。ケーブル事業者との提携を実現するためには、どんな手でもつかってくるだろう」とするチェタン・シャーマ(Chetan Sharma)氏のコメントを紹介している(シャーマ氏は通信業界をカバーする独立系のアナリスト/コンサルタント)。

また、TWCの買収を断念したコムキャストが、新たな事業拡大の機会として、T-モバイルもしくはスプリントの買収を視野に入れている可能性もあるとするシャーマ氏の見方も紹介されている。

なお、この話題に触れたWSJ記事には、1995年以降に生じた米通信・放送事業者の合従連合の様子を整理した図表が掲載されているので、ご興味のある方は参照願いたい。

【参照情報】
Charter Strikes $55 Billion Deal for Time Warner Cable - WSJ
Charter Agrees to Buy Time Warner Cable for About $55 Billion - Bloomberg
In Cable Deal, Charter Seeks National Heft - NYTimes
Why the Charter-TWC merger could be a big deal for wireless and mobile, too - Fortune

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