Image by guillaume inconito (CC-BY)
Facebook、アフリカに初のオフィス開設:急成長のアフリカ市場での広告事業の拡大を目指して
Facebook rocks Africa!
2015.07.27
Updated by Hitoshi Sato on July 27, 2015, 18:13 pm JST
Image by guillaume inconito (CC-BY)
Facebook rocks Africa!
2015.07.27
Updated by Hitoshi Sato on July 27, 2015, 18:13 pm JST
Facebookが南アフリカのヨハネスブルグに2015年6月、アフリカ初のオフィスを開設した。25人のスタッフでアフリカ地域でのFacebook利用の促進と広告販売に注力していく。特に南アフリカ、ケニア、ナイジェリアなどのサブサハラアフリカ地域での営業活動を積極的に行っていくと報じられている。
Facebookは全世界での月間アクティブユーザー数が14億4,000万人である。アフリカでは2014年9月には1億人の利用者がいたが、2015年6月には1億2,000万人にまで増加している。そしてアフリカでのFacebook利用者のうち80%以上がモバイルからの利用である。ソーシャルネットワークとしてのFacebookの利用の他に、Messengerや傘下のWhatsAppの利用も増加している。
Facebookの利用者1人あたりの平均収入(ARPU)は世界平均で2.50ドルである。地域別の売上でみると、北米での収入が1人平均8.32ドルと他よりも圧倒的に高く、欧州2.99ドル、アジア太平洋地域1.18ドルと続いている。
一方で、アフリカや中南米などの新興国が該当する「その他の地域」では利用者は急激に拡大しているが、1人当たりの収入は0.80ドルと非常に小さい。アフリカ地域における広告収入のテコ入れはFacebookにとっても重要な課題である。
またFacebookではアフリカだけでなく新興国では現地の通信事業者と提携して「Internet.org」というアプリを提供している。これはデータ通信が無料でFacebookやGoogle検索、Wikipediaの他に天気予報や生活情報サイト、求人情報などのサイトにアクセスが可能であり、それ以外のサイトへのアクセスには通信費がかかるものである。アフリカではザンビア、タンザニア、ケニア、ガーナの4か国で提供されている。「Internet.org」は一見、慈善事業のように見えるが、これもFacebookが新興国で将来の広告ビジネスの拡大を狙っている。
現在のFacebookの収益構造は90%以上が広告収入に依拠しており、そのモデルは今後も続くであろう。そしてその広告収入のうち約73%が北米地域である。Facebookとしては利用者が今後も急速に拡大していくアフリカにおいても、広告収入を拡大させていく必要がある。これからのアフリカ諸国におけるFacebookの更なる普及とそれに伴う新たなビジネスや利用が促進されることが期待される。
【参照情報】
・Facebook opens office in Africa
・Why is Facebook opening an office in Africa?
・Facebook Is Opening Its First Office in Africa
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。