ラルフ・ローレンが発表したPoloTechは、「スマート・アパレル」を謳う首にぴったりしたクルーネックの黒いTシャツで、心拍や呼吸、消費カロリー、身体のバランスなどを計測するセンサーが仕込まれている。ジムなどでのワークアウトで活用することで、運動の内容をカスタマイズし、効果を高めることが目的のようだ(295ドル)。iOSデバイスに計測データをリアルタイムに送って処理し、運動中の人にフィードバックを与える。成人男性向けで、女性用は開発中。洗濯機で洗える。
PoloTechはカナダのOMsignal社の技術を使っている。2014年の夏に両社はテニスの全米オープンでセンサー内蔵Tシャツの実験導入を行っている。同社の狙いは一貫してワークアウトなど運動用途のようだ。ワークアウトの間だけ着るのであれば、週に何回かという人が多いだろうから2着以上用意する必要はないかもしれない。だが毎日着たいという人は洗濯のことも考えて何着が必要になるだろう。低機能の廉価版の登場を待つ人も多そうだ。
ウェアラブル(wearable)といえばこれまではブレスレットやウォッチ型、アンクレットやブローチが主流だった。「身につけられる」という意味では確かにそれで良いのだが、手首はすでに腕時計とブレスレットによって長らく占有されてきたし、ファッション性を重んじてデザインで厳選する人や、逆に身につけないことでファッション性を主張している人には使いづらい。一昨年くらいから世界中で百花繚乱のごとくブレスレット型トラッカー(活動量計)が発売されているが、それらを長期に渡って継続利用する人はジョギングやマラソンなどに熱心に取り組んでいる人が中心だという。
それに比べると、アンダーウェアの形状のウェアラブルは多くの人にとって(値段次第だが)理想的な形状かも知れない。身体と密着するも大きく、動きを電力に変える技術との組み合わせなども考えやすい。
着る生体情報測定と言えば日本でもNTTのhitoeが東レとの共同開発を経てドコモのサービスとして実用化されている。こうした「着られる」ウェアラブルは、やがて心臓などに疾患のある人や高齢者などに使われるようになるだろう。医療保険や介護保険などの適用対象になってから真価を発揮するようにも思われる。
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