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NTTドコモ、高度化C-RANの運用を開始、2015年11月には300Mbpsサービスを提供

2015.09.15

Updated by Asako Itagaki on September 15, 2015, 19:57 pm JST

9月15日、NTTドコモは報道関係者向けにネットワーク説明会を開催した。プレゼンテーションは同社取締役常務執行役員の大松澤清博氏。PREMIUM 4Gの下り最高速度262.5Mbps化に合わせ、4つの周波数を組み合わせた4通りのCAについて高度化C-RANを導入して制御する。また、2015年11月には800MHz帯、1.5MHz帯、2GHz帯の3キャリアを束ねて下り最高速度300Mbpsのサービスを開始する。

高度化C-RAN導入で4つのCAを制御

ドコモのネットワークは2013年9月から1.7GHz帯と1.5GHz帯を「フルLTEバンド」と位置づけ提供を開始。2015年3月にはLTE-Advancedサービスを「PREMIUM 4G」として「800MHz帯の75Mbps+1.7MHz帯の150Mbps」「1.5GHz帯の112.5Mbps+2GHz帯の112.5Mbps」等の組み合わせでキャリアアグリゲーション(CA)による下り最大225Mbpsの提供を開始している。9月25日から東名阪でサービスを開始する「1.7GHz帯の150Mbps+2GHz帯の112.5Mbps」の組み合わせを合わせると、4つの周波数を元に4つのCAを提供することになる。

個々の通信に際してどのパターンを使用するかは、、端末のスペックと電波状況によって判断する必要があるが、そのためにドコモは4D PREMIUM対応基地局に高度化C-RANを制御装置として導入する。高度化C-RANの導入は東名阪の都市部で、特にターミナル駅周辺など混雑状況が激しいところから導入を進める。具体的なエリアについてはドコモのウェブサイトのサービスエリアマップで確認できる。

▼高度化C-RANにより端末スペックと電波状況に応じて最適なネットワーク接続を選択。

PREMIUM 4Gの導入については、利用者の多いところから、2015年9月末には全都道府県640都市、2016年3月末には900都市以上で展開の予定。高度化C-RANに対応したPREMIUM 4G対応基地局も2016年3月末には18,000局にまで増やす計画だ。

PREMIUM 4Gの狙いは「混雑している場所でも快適に」

大松澤氏はPREMIUM 4Gの狙いを「いつでもお客様に快適さを届けること。多くの人がいて混んでいるところでも動画が止まらない、使いたい時はいつでも快適を実現すること」と述べ、最大速度を上げることよりは周波数を束ねることにより効率よく一度にたくさんのデータを安定して送れることを重視しているとした。都市部では既に高密度なエリアが構築されているが、駅周辺や集客施設などの混雑が発生する場所にPREMIUM 4Gのネットワークを展開することで、通信容量を向上する。

▼都市部の中でも混雑している場所に重点的にネットワークを重ねることで、どこでも安定した快適な通信品質を実現する。

▼PREMIUM 4G導入の効果として示されたのが郊外(八王子)と都心部(渋谷)の実効速度の比較。渋谷にPREMIUM 4G導入後に、朝夕ラッシュ時の実行速度が大きく向上した、とされている。ただし、グラフの目盛りの数値については「回答を差し控えさせていただきます」とのこと。

なお、ネットワークの現状把握のために、ドコモでは2014年6月から「ドコモスピードテストアプリ」を公開し、ユーザーによるダウンロード・アップロード速度の測定データを収集している。アプリのダウンロード数は約50万ダウンロードで測定データは700万回に上る。エリア整備計画についてもこのデータを活用している。説明会では山手線主要6駅でのPREMIUM 4G導入前のLTE(2014年10月から11月)とPREMIUM 4G(2015年9月)の朝夕の通勤時間帯の計測結果から、PREMIUM 4Gによる実行速度アップ効果が平均4倍であると説明された。混雑時の平均実効速度については、PREMIUM 4G導入前(2014年度3Q)と導入後(2015年度1Q)を比較して、効果が出やすい都市部で20%向上、全国平均でも10%向上しているとする。

▼山手線の主要6駅での測定結果。

実際にはiPhone 6s / 6s Plusの発売に伴いPREMIUM 4Gユーザーは爆発的に増えるはずなので、「必ずしもこの通りの体感とはならないのでは?」という質問に対して、大松澤氏は「駅前エリアなどについてはもっと増強する計画をon goingで進めている。もっとご利用いただくために先を越して実効速度を高めるよう計画を立てているが、ドコモスピードアプリなどを活用してピンポイントの状況を押さえながら設備増強計画を都市部中心に力強く進めていきたい」と回答した。

2015年11月には「2GHz帯の112.5Mbps+1.5GHz帯の112.5Mbps+800MHz帯の75Mbps」の3キャリアアグリゲーションでの300Mbpsサービスを開始することが発表された。300Mpsでの通信が可能となるカテゴリ6対応端末の発売については明言されなかったが、2015年冬モデルで対応すると思われる。

次の段階としては、「周波数割り当てを待って、できれば2016年度中に3.5GHz帯のTDD-LTEを利用した370Mbpsサービスを開始したい」としている。さらにMIMO高度化等で2020年度までには1Gbpsの5Gサービスの提供を目指す。

 

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。