データと経済と安全保障について、大きな変化を予感させる動きが続いている。各ニュースの詳細については、原文のリンクを参照されたい。
法律・規制
セーフハーバー無効問題の解決に向け、欧州と米国は急ピッチで作業を進めている。
米国とEU、セーフハーバーに変わる条約を2016年1月の締結を目指し交渉開始
EU hopes for new ‘safe harbor’ deal with US by January
EUと米国は、12月にデータ移転に関するセーフハーバー協定の代替となる条約の交渉を開始し、翌1月までに交渉を完了させることを狙っている。欧州司法裁判所がセーフハーバーを無効とした理由として、欧州市民のための法的な申し立て窓口がなかったことと、米国企業のEU基準への適合が自己申告同然だった点にあるため、ヨウロヴァー・EU司法委員は欧州データ保護当局と米FTCの双方が「基準を施行し、市民の苦情に対応する」だろうと述べた。
企業がデータを活用することが今後の経済やイノベーションに必要なことを認めたうえで、どのような枠組みで規制すべきか、という議論を投げかけている。
ビッグデータ時代のデータ保護規制に必要な改革に向けて、European Data Protection Supervisorが意見書を公表
EDPS Issues Opinion on the Challenges of Big Data
European Data Protection Supervisor(EDPS)は、ビッグデータにおける個人情報の扱い方について、意見書を公表した。その中では、透明性の確保、ユーザー自身によるコントロール、プロダクトやサービスのデザインにデータ保護が包含されていること、企業の説明責任の義務などを強調している。さらにEDPSは、このような保護を実現するためには、規制のフレームワークの改革が必要であることを認めている。
調査・レポート
BBCによる、SNSでシェアされ続けるアプリ問題のレポート。状況は彼我でまったく変わらないようだ。
シェアされ続けるFacebookのアプリ、一時の楽しみでプライバシーを引き渡す愚行
Facebook quizzes: What happens to your data?
Facebookでシェアされるクイズなどのアプリの多くは、利用者のプロフィールやタイムライン、フレンドリストなどのデータへアクセスを要求するものが多く、そうしたデータをどのように利用しているのか明確ではない。アプリはユーザーが削除するまでバックグラウンドでデータにアクセスし続けており、Facebook自身もこうした状況をユーザーに明確に伝えてない。プライバシーの専門家は、こうしたアプリには自分のデータと引き替えにするほどの価値はないいう。
オピニオン
英エコノミスト誌による、パリのテロを受けての欧州ではプライバシーよりもセキュリティを重視するだろうという論考。
テロをきっかけにセキュリティとプライバシーの対立が再燃、匿名性への制限は避け得ない流れ
The terrorist in the data
デジタルデータの記録からパリのテロ実行犯の追跡が可能になった一方で、予防できなかったことへの批判もあり、セキュリティとプライバシーの対立が今回も再燃している。議論はセキュリティ重視へと傾きつつある。政府は暗号化と匿名性への制限を考えるが、暗号化はインターネットのビジネスとサイバーセキュリティのためには必須であるため、欧州ではインターネットに関してこれまでよりも匿名性を損ねることが避けられないだろう。
日本でも外務省が概要と評価を公表しているが、こちらでは越境プライバシーおよびCBPRへの言及は少ない。
APEC首脳会議において加盟国代表が世界経済の発展に向けCBPRの重要性を再確認
APEC Leaders Reinforce Commitment to CBPR System
米ホワイトハウスは11月19日、フィリピンで開催されたAPEC首脳会議のファクトシートを発表。「地域経済統合の促進」の章で、現在進行中のAPECクロスボーダープライバシールール(CBPR)システムを実行するための加盟国代表がコミットメントを強化したとしている。そして、国際貿易のさらなる発展のために、CBPRと欧州との連携に向けた努力にも言及されている。また、APEC首脳宣言と共同閣僚声明においても、プライバシーの越境問題とCBPRシステム参加加盟国の増加の重要性について言及されている。
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