米カリフォルニア州の自動車輌局（Department of Motor Vehicles、DMV）が米国時間16日、自動運転車の公道走行に関するガイドラインを発表。同案のなかには、一定の訓練を受けた免許保有者の乗車を義務づける項目や、自動車メーカーに対して利用者（ドライバー）への訓練提供を求める項目などが含まれているという。

DMVが発表したガイドラインの主な内容は次の通り。

１）自動車メーカーから自動運転車の運行に関するトレーニングを受けたドライバー（免許保有者）の乗車を義務づける。ドライバーなしでの運行は当初は認めない。メーカーのトレーニングを受けたドライバーは、DMVからトレーニング受講を証明する書類を取得する必要がある。

２）自動車メーカーは、DMVなどの定める安全基準を車輌が満たしていることを示す証書を取得し、さらに第三者が実施する検査に合格する必要がある。この検査に合格したメーカーには3年間の期限付きで運行に関する許可証が発給される。

３）自動車メーカーには、運行許可証取得の条件として、対象となる自動運転車の月間利用状況や安全に関する報告の提出が求められる。

4）自動車メーカーは、安全などに関するもの以外のデータを収集する場合、これをドライバーに開示し、同意を得ることが求められる（利用者のプライバシー保護）。またサイバー攻撃や他の不正侵入などを検知する自己診断機能を車輌に搭載することなどが義務づけられる（サイバーセキュリティ対策）。

このほか、自動運転車の取得に関して当面は自動車メーカーからのリースのみが認められる（販売は認めない）ことや、商用バンやトラックといった大型車輌はこの規制の許可の対象に含まれない（運行が認められない）こと、不正侵入などが検知された場合にはドライバーによる運転で安全を確保できるような手段を講じることなども盛り込まれているという。

DMVは来年初めに2度のパブリックミーティング開催を予定しており、それらを通じて得られたフィードバックを参考にしながら規制案の内容に修正を加えていく考えとされている。ルール導入の予定時期などは明らかでないが、Guardianでは早ければ来年後半もしくは2017年にも、自動運転車の（第三者による）検査が始まる可能性があるとしている。

カリフォルニア州では昨年8月、自動運転車の公道実験に関するルールが発表されていた。WSJによると、このルールでは車輌へのハンドル、ブレーキ/アクセルペダルなどの搭載や、ドライバーの同乗が求められているという。今回発表されたガイドラインもその内容を踏まえたものと考えられるが、適応の対象は公道実験だけでなく、同州内での自動運転車の一般利用に関するものとWSJは記している。

Reutersによると、カリフォルニア州では自動車メーカーなど合わせて11社が公道実験に関する許可をすでに取得し、来年にも公道での実験を開始する予定。またカリフォルニア州以外に、ネバダ、ミシガン、フロリダなどの各州でも自動運転車の公道実験に関するルールがすでに定められいるとWSJは記している。

グーグルは現在カリフォルニア州の本社周辺と、テキサス州オースチン周辺の2箇所で自動運転車（「Google Car」）の公道実験を実施しているが、WSJによるとカリフォルニア州での実験に利用している車輌には、DMVのルールを遵守する形でハンドルなどの制御機能が暫定的に追加されている。いっぽう、オースチンで運行している車輌はブレーキやアクセルのペダルやハンドルの付かないものだという。

【参照情報】
・DMV Releases Draft Requirements for Public Deployment of Autonomous Vehicles State Seeks Public Comment on Draft Document - DMV
・California outlines regulations to allow self-driving cars on the open road - The Guardian
・California Proposes Rules for Autonomous Cars - WSJ
・California says self-driving cars must have driver for now - Reuters