© Serg Zastavkin - Fotolia.com
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あけましておめでとうございます。まもなく一年で最も寒い季節を迎えます。そこで、この連載でも寒い話題を。雪や氷と光の関係についてお話しします。
2016年1月6日は、二十四節気の「小寒」。この日は「寒の入り」とも呼ばれ、この時期にかわす挨拶状のことを「寒中見舞い」といいます。さらに1月21日は二十四節気の「大寒」となり、1年でもこのあたりが一番寒い時期となります。外に出るのはつらいものですが、タラやブリ、ミカンなど冬の味覚がおいしい時期でもあります。
これからの季節は、週末などにスキーやスノーボードを楽しむ人も多いことでしょう。雪山では、うっかり日焼け止めを塗り忘れると、日焼けしてしまうもの。考えてみれば不思議ですね。紫外線の量は、冬よりも夏のほうが多いはずです。なぜ、雪山は紫外線が強いのでしょうか。
雪の反射率は水面よりも高いので、とてもまぶしく、日焼けしやすいのです。
雪山で日焼けしやすいのは、雪が太陽光を反射しやすいからです。だから、晴れた日に雪を見れば、反射された可視光線が目に入って非常にまぶしく感じますし、雪原で多くの紫外線が反射されるため、日焼けしやすくなるのです。
太陽光が地球上で反射される割合は、全地球の平均で約30%です。一方、新雪の反射率は80%と非常に高い。ちなみに、砂浜の反射率は10~25%、アスファルトが10%、水面が10~20%で、草地や土だと10%以下になります。キラキラと光る水面は、一見反射率が高そうに見えますが、雪に比べればずっと反射率が低いんですね。
地表で反射した紫外線は、肌だけではなく、目にもダメージを与えます。晴れた日に雪を裸眼で見続けるとまぶしく感じるだけでなく、目がゴロゴロして痛くなることがあります。これらの症状は雪目と呼ばれ、強い紫外線で目の角膜の表面が傷つくことで起こります。スキー場でゴーグルをするのは、滑り降りるときの風よけだけではなく、目を紫外線から守るためでもあるのです。
なお、光の反射率は、白っぽいもののほうが黒っぽいものよりも高い傾向にあります。子どものころ、虫眼鏡を使って黒い紙に太陽の光を集め、紙が燃やしたことがある方は、思い出してみてください。白い紙を使っても紙はなかなか燃えなかったはずです。これも色によって光の反射率が違うからなのです。
雪の上に土や大気汚染物質などが付着して黒っぽくなると、雪は融けやすくなります。北極や南極を覆う雪や氷の面積が大きいと、地表が太陽光をたくさん反射して気候が寒冷化しますし、地上の雪や氷の面積が融けて小さくなると、それだけ黒っぽい部分の面積が増えて太陽光をより吸収するようになり、気候が温暖化するという性質があると考えられています。
雪はなぜ白いのか
ところで、雪の色といえば白をイメージすることが多いと思うのですが、雪を構成している雪の結晶は、小さな氷の粒であり、透明です。なぜ、透明なものが白く見えるのでしょうか。
雪の結晶は太陽からの光をある方向に反射します。雪は小さい結晶がさまざまな方向を向いた状態で集まっているため、太陽の光が雪に当たれば、光はさまざまな方向に乱反射されます。この乱反射によって、雪が白く見えるようになるのです。
同様に、ホッキョクグマの体毛も、乱反射によって白く見えるひとつの例です。実は、ホッキョクグマの体毛は透明で、中は空洞になっています。この空洞の中の空気が、断熱材となり、体温を外に逃さない働きをしています。そして、空洞があるために、太陽光が乱反射されて、体毛が白く見えるのです。ホッキョクグマの体毛は透明で、なんと皮膚の色は黒! なのに、白く見えるだなんて、とても面白い光のマジックですよね。
以上、雪と光の関係についてお話しました。スキー場に行ったら、日焼け止めとゴーグルの用意をお忘れなく!
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登録はこちらサイエンスライター。気象予報士。2001年京都大学農学部卒。酒メーカー商品企画部、印刷会社営業職、編集プロダクションを経て、2012年からフリーに。子ども向けや一般向けに分かりやすく科学を解説する書籍や記事を多数執筆。共著書に「気象の図鑑」(技術評論社)がある。ほか、医療・健康、教育、旅行分野も得意。気象予報士として、お天気教室や防災講座の講師も務める。