インドネシア:スマートウォッチ市場はまだ人口の3~5%:拡大のカギはヘルスケアか
2016.02.02
Updated by Hitoshi Sato on February 2, 2016, 09:12 am JST
2016.02.02
Updated by Hitoshi Sato on February 2, 2016, 09:12 am JST
インドネシア・コンピュータ・ビジネス協会(Indonesian Computer Entrepreneurs Association (Apkomindo))のSoegiharto Santoso会長は、インドネシアでのスマートウォッチの浸透は、人口の3~5%に過ぎないと語った。
インドネシアでは、地場のメーカーが台頭してきたことによってスマートフォンが急速に普及してきている。特にジャカルタでは若者を中心にほとんどがスマートフォンを利用している。
しかし、スマートウォッチは、インドネシアでもまだ高額な製品だ。若者はスマートウォッチを購入するよりもまずはスマートフォンが欲しい。廉価なスマートフォンは100ドル~200ドルくらいで購入できるが、スマートウォッチはまだサムスンやHuaweiといったグローバルブランドのスマートウォッチしかないので、高価である。
2015年末にサムスンがインドネシアで販売開始したスマートウォッチ「Samsung Gear S2」(写真)は399万ルピア(約4万円)、「Samsung Gear S2 Classic」は499万ルピア(約5万円)と、地場メーカーのスマートフォン2台分以上の値段である。インドネシアの若者にとっては現時点では、まずはスマートフォンであり、スマートウォッチは二の次である。
インドネシアでは時計をしていない人も多い。特に携帯電話が爆発的に普及したことによって、多くの人が携帯電話を時計代わりに利用することが多くなった。これは日本でも同じことであるが、携帯電話があれば腕時計は必要ないという人も多い。さらにインドネシアは暑いので、腕時計をつけておくのは汗をかいて鬱陶しい。だから学生や若者で腕時計をしているのはファッションであることが多い。ファッションとして腕にリングなどを着けている人は多い。
そのようなインドネシアでスマートウォッチが更に普及する余地はあるのだろうか。一番需要があるとしたら、ヘルスケア関連の対応アプリを活用してのスマートウォッチの利用であろう。自動車、バイクでの移動が多く、食事が美味しいインドネシアでは肥満が問題になっており、多くの人がジムに通ったり、ランニングやサイクリング、ウォーキングなど運動をしている。富裕層だけでなく多くの人が健康維持やダイエットのために運動をしているので、そのような層を取り込むことができれば、インドネシアでのスマートウォッチ普及につながるだろう。このようなトリガーが無い限り、腕時計すら持たない人も多く、暑いインドネシアでスマートウォッチが拡大することは考えにくい。
インドネシアは人口約2億5,000万人だから、スマートウォッチの普及率が3~5%といっても、750万~1,250万人が利用していることになる。だが本当にそんなに多くのインドネシア人がスマートウォッチを利用しているようには見えない。それでも、スマートウォッチの値段が下がっていけば、成長余地は相当に大きい市場だ。
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。