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[2016年第11週]災害時に居場所を地図で、PepperとAzureが連携、スマホで自律神経の状態推定

2016.03.15

Updated by Naohisa Iwamoto on March 15, 2016, 14:51 pm JST

東日本大震災から5年。その間もICTやモバイル技術を活用した災害への対策や災害意識の啓蒙などの活動は、継続して行われている。また、この週はヘルスケア関連や法人向けのサービスのトピックが豊富だった。

地図で居場所を確認できる新サービスや「災害用伝言ダイヤル」の機能追加

まず災害関連のトピックから紹介する。ソフトバンクは、災害発生時などに家族が相互に居場所を地図上で確認できる「みまもりマップ」を2016年5月以降に提供する。居場所の確認のほか、指定したエリアに出入りしたときに通知をする機能、安否情報の共有や周囲に救援を求めることができる機能を提供する。ソフトバンクが提供するSoftBank、Y!mobileの各ブランドのスマートフォンのユーザーだけでなく、他社のスマートフォンのユーザーも本サービスを利用できる(報道発表資料:災害時などに家族の居場所や安否情報を確認・共有できる「みまもりマップ」の提供について)。

NTT東日本、NTT西日本は、「災害用伝言ダイヤル(171)」の機能拡充を発表した。登録可能な電話番号に携帯電話/PHSを追加するなど、利用環境の変化に対応する。3月18日に機能拡充を実施する。NTT東西が提供する「災害用伝言板(web171)」との連携も開始する。災害が起きたときの家族や知人などとの連絡手段を確保する方法が、より広い範囲で利用できるようになる動きだ(関連記事:NTT東西、災害用伝言ダイヤルの機能拡充で携帯電話/PHSも登録可能に)。

もう1つ、今後の災害に備える意味を持つ話題を紹介する。首都大学東京 渡邉英徳研究室と岩手日報社は共同で、岩手県における東日本大震災犠牲者の「地震発生時」から「津波襲来時」までの避難行動をまとめたデジタル・アーカイブ「忘れない〜震災犠牲者の行動記録」を制作した。

▼デジタル・アーカイブ「忘れない」デモムービーより

遺族への取材で地震発生時と津波襲来時の居場所が詳細に判明した1326名の犠牲者について、被災地の震災直後の立体的な航空写真・地図と組み合わせることで避難行動を可視化している。遺族の了承を得た犠牲者687名については氏名と当時の行動も閲覧できる(関連記事:震災犠牲者の行動を可視化したデジタル・アーカイブ「忘れない」公開)。

スマートデバイスで医療、ヘルスケアに新サービス

医療やヘルスケア関連のトピックが多かったのもこの週の特徴だ。ユニバーサルロボットは、スマートフォンやタブレットの内蔵カメラで撮影した画像から自律神経の状態を推定する技術を開発し、特許庁から特許査定を受けたとアナウンスした。自律神経の状態は心拍の変動から推定できるが、これまでは心電図の電極を肌に装着するなど測定には不自由があった。同社が開発した技術では、スマートフォンやタブレットのカメラで簡易に人体表面の画像を撮影するだけで、高精度に心拍の変動を測定し、交感神経や副交感神経の状態を推定することを可能にした(報道発表資料:【新技術】スマホのカメラで自律神経を測定 自律神経状態推定装置および推定方法が特許査定を受けました。)。

ドコモ・ヘルスケアは、 リストバンド型活動量計の新製品「ムーヴバンド3」を発売する。本体にディスプレイが搭載されたことにより、歩数、移動距離、消費カロリー、アクティブ時間、睡眠時間や睡眠状態を計測、歩数などは本体だけで確認できるようになった。測定したデータはスマートフォンに自動転送されてアプリで自分の活動や睡眠の状態を把握できる。ムーヴバンド3では、スーツにもカジュアルなファッションにも馴染むシンプルなデザインを採用した(報道発表資料:24時間快適に身に着けることにこだわったウェアラブル〜リストバンド型活動量計の新製品「ムーヴバンド3」を発売)。

ソフトバンクは、病院の診察料を携帯電話料金とまとめて支払える「スマート病院会計」を3月28日に開始すると発表した。利用料金は1回あたり100円(税抜)。スマート病院会計を使うと、診察料の支払いを携帯電話料金とまとめて後払いにできる。そのため、受診後に混雑している会計に並ぶことなく帰れるだけでなく、外出先の急病での受診でも診察料の心配をする必要がなくなる(報道発表資料:診察料を携帯代にまとめて後払い、ソフトバンクの「スマート病院会計」が3月28日開始)。

PepperとAzureで次世代型店舗構築など法人向け新サービス

法人向けのニュースとしては、ソフトバンクロボティクスと米マイクロソフトが、クラウドロボティクス分野で戦略的協業を行うというものがあった。協業の第一弾として、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」と、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を活用したクラウド対応ロボットを実現する。これにより、クラウド対応ロボットが顧客のニーズに応じた接客をする小売業界向け次世代型店舗ソリューション「未来の商品棚(仮称)」を共同で構築。2016年秋をめどに日本市場での提供を予定している(報道発表資料:ソフトバンクロボティクスとマイクロソフト クラウドロボティクス分野で戦略的協業)。

タッチスクリーンタイプのデジタルサイネージを使ったO2Oマーケティングツール「プレゼンウォール」の試験導入が大阪で行われた。開発はNTT西日本、大広、インタレストマーケティングの3社。「プレゼンウォール」は、タッチスクリーン操作のデジタルサイネージに、利用者の属性を判断できるカメラシステムを組み合わせたもの。

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属性に合わせた適切なコンテンツを表示する、インタラクティブなターゲティング広告機能を備えている(関連記事:カメラ付きデジタルサイネージで属性にあったサンプル配布を提供するマーケティングツールが登場)。

フリービットは、法人向けクラウド型PBXサービス「モバビジ」を提供すると発表した。スマートフォンを端末として使い、内線通話機能や企業の固定回線番号による発着信を可能にする。フリービットでは音声通話に最適なネットワーク経路を確立できる「Emotion Link」といった独自技術などを組み合わせ、品質を高めたクラウド型PBXサービスとして「モバビジ」を開発、提供に至った。通信料金の削減、設備や運用コストの削減、BYODの推進といった効果を狙う(関連記事:スマホを端末にするクラウド型PBXサービス「モバビジ」、フリービットが提供
)。

オプティムは法人向けビジネスアプリ提供プラットフォーム「OPTiM Store」を発表した。ビジネスアプリベンダーと協業を行い、ビジネス向けアプリを提供するマーケットプレイスを提供。「セキュリティが心配」「うちに必要なアプリが分からない」という課題に応える。

2016年度上半期中に、OPTiM Storeは指紋認証によるシングルサインオンにも対応する(関連記事:オプティム、セキュアな法人向けアプリマーケットプレイス発表 生体認証でシングル・サインオンを可能にするビジョン)。

2画面スマホをFREETELが発売、電子書籍を利用するデバイスは?

このほかのニュースを紹介する。FREETELブランドでSIMロックフリー端末、SIMサービスを展開するプラスワン・マーケティングは、新製品と新サービス発表会を開催した。新製品としては、背面と内面のデュアルディスプレイを採用し物理キーボードを備えたスマートフォン「MUSASHI」を3月下旬に発売。

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SNSのメッセージのデータ通信料を無料にする新サービスも提供する(関連記事:FREETEL、2画面スマホ「MUSASHI」を2万4800円で発売、SNSパケット無料化も)。

MMD研究所は、「2016年電子書籍に関する利用実態調査」の結果を発表した。調査で電子書籍を最も利用しているデバイスを尋ねたところ、男性は「タブレット」(36.8%)、「スマートフォン」(27.9%)、「ノートパソコン」(13.0%)の順だったのに対し、女性は「スマートフォン」(42.8%)、「ノートパソコン」(19.1%)、「タブレット」(18.5%)と大きく順位が異なった(関連記事:電子書籍利用は男女でデバイスやアプリの傾向に違い--MMD研究所)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。