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グーグル(Google)は米国時間19日、同社の開発者向け「 Google I/O」カンファレンスのなかで、AI機能を組み込んだメッセージングアプリ「Allo」およびビデオ通話アプリ「Duo」を発表した。同分野で先行するフェイスブック(Facebook)やテンセント(Tencent)、アップル(Apple)などに対するキャッチアップの狙いがあるとされている。

2つのアプリのうち、AlloはグーグルのAIアシスタント機能が組み込まれており、ユーザーのテキストパターンを学習したり、送られてきたメッセージや写真に対する返信文をサジェストすることなどが可能。またテキストのサイズを変えられる「whisper and shout」と呼ばれる機能なども備える。

さらに、Alloでは会話の宛先を「@google」と入力することでAIアシスタントを呼び出すもでき、ユーザーは会話型のインターフェースを通して、天気やスポーツの試合の結果、YouTube動画などの情報やコンテンツを、直接アプリに表示したり、「OpenTable」経由でレストランを予約したり、絵文字を使ったゲームを楽しむことなどもできるという。

そのほか、セキュリティ機能については通常の暗号化機能に加え、「incognito mode」という高セキュリティモードも利用でき、同モードではエンドツーエンドの暗号化や終了した会話の完全消去などが可能だという。

いっぽう、Duoはシンプルで高速なインターフェースが特徴のビデオ通話アプリで、利用には電話番号が必要となる。同アプリでは通話相手側が電話に出る前からアプリ画面上に発信者側の映像が表示され、相手が電話に出た瞬間に会話を始めることが可能。さらに、同アプリはWi-Fi網と携帯通信網を自動的に切り換える機能が付属し、回線速度に応じて音声や動画の質を自動調整する仕組みもある。なおAllo同様、Duoもエンドツーエンドの暗号化機能を備えるという。なお、これらのアプリはAndroidOSおよびiOS向けのいずれも今夏にリリースされる見込み。

メッセージング・アプリの分野では、フェイスブック傘下のワッツアップ(WhatApp)が10億人を超えるユーザーに利用されており、同じフェイスブックの「Messenger」アプリやテンセントのWeChatも数億人規模のアクティブ・ユーザーを擁するようになっている。それに対し、グーグルが過去に投入した「Hangout」は人気・評判ともいまひとつとされている。いっぽう、同社はすでに「Google Now」でAIを使ったパーソナルアシスタント機能を実装しており、音声や画像の認識等にも積極的にAIを活用してきている。また、マイクロソフトやフェイスブックでは、文字や音声を使った会話型ユーザーインターフェイスの導入に力を入れる姿勢を明らかにしている。グーグルによる新たなメッセージングアプリの発表は、こうした競合各社の動きを受けたものとも考えられる。

【参照情報】
Allo is a messaging app with Google built right in - The Verge
Google Duo makes mobile video calls fast and simple - The Verge
Google Takes on Apple, Facebook With Allo and Duo Chat Apps - WSJ

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