スマートフォン用の広告ブロックソフトウェア（アドブロッカー）の利用者がこの1年で約9割も増加し、世界のスマートフォンユーザーの5人に1人が利用するまでになっているとするレポートが発表され、一部の媒体で注目を集めている。

アイルランドのページフェア（PageFair）が発表したレポートによると、アドブロッカーの利用者は今年3月に世界全体で約4億2000万人まで増加し、とくに中国が1億5900万人、インドが1億2200万人など、アジア地域に利用者が多く、同地域では全体の約36％のユーザーがアドブロッカーを利用。それに対し、欧米ではいまのところ利用者の割合は小さく、たとえば米国ではスマートユーザーの2％にあたる約430万人にとどまっているという。

なお、PCブラウザーにアドブロッカーを導入しているユーザーの数は推定2億人とされている。

ページフェアでは、アドブロッカーの利用によって生じた広告収入の損失についてに、2015年には世界全体で推定218億ドルに上ったとしている。

アジアなどの新興国では、スマートフォン・ユーザーがアドブロッカーを利用することで、通信料金を抑えようとしているためではないかと、この話題を採り上げたThe Vergeでは指摘している。

広告収入に依存するメディア（パブリッシャ）各社では、アドブロッカーの普及に対して警戒感を募らせている。また携帯通信事業者側では、英国のスリー（Three）のように、自社のネットワーク全体にアドブロッカーを適用する動きを進め始めたところもあるとNYTimesは記している。

【参照情報】
・Rise of Ad-Blocking Software Threatens Online Revenue - NYTimes
・Mobile ad blocking rose 90 percent last year, report says - The Verge
・Asia is leading the adoption of mobile adblocking; North America is dodging the bullet (for now, at least) - Niemans Lab