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アップル(Apple)が、大物ヒップホップ・アーティストで実業家としても知られるジェイ・Z(Jay Z)の所有する音楽ストリーミングサービス「Tidal」の買収に関して交渉を行っているという。WSJが米国時間30日、情報筋の話として報じている。

WSJによれば、アップルは自社の音楽ストリーミングサービス「Apple Music」の競争力強化のために、カニエ・ウエスト(Kanye West)やリアーナ(Rihanna)、ビヨンセ(Beyoncé)などの人気アーティストと密接な関係にある「Tidal」の取得に関心を示しているとされるが、ただし現時点では交渉が物別れに終わる可能性も残っているという。

「Tidal」は、ジェイ・Zが2015年3月にスウェーデンのアスピロ(Aspiro)から5600万ドルで買収したサービスで、前述のアーティストのほか、マドンナ(Madonna)、ニッキー・ミナージュ(Nicki Minaj)、コールドプレイ(Coldplay)、ジャック・ホワイト(Jack White)、ダフトパンク(Daft Punk)、アリシア・キーズ(Alicia Keys)、アーケードファイア(Arcade Fire)、アッシャー(Usher)といった有名アーティストが共同所有者として名を連ね、またそれぞれが株式や現金と引き換えに同サービスのプロモーションやマーケティングをサポートしている。

「Tidal」は現在約4000万曲の楽曲を配信可能で、ユーザーには月額20ドルで高音質のストリーミングサービスを提供している(月額10ドルの通常版もある)。同社のサービス加入者は現時点で420万人に上るという。

音楽ストリーミング分野では、最大手のスポティファイ(Spotify)が有料ユーザー約3000万人、無料ユーザー7000万人を抱えるものの、後者のサービスに対してはアーティストや音楽レーベルからライセンス料の少なさを理由とする非難の声が上がってきており、これまでにテイラー・スウィフト(Taylor Swift)やアデル(Adele)などの有名アーティストが楽曲提供を拒否したり、新作のリリースを遅らせたりしたことが話題になってもいた。ジェイZは「Tidal」発表時に、アーティスト側の抱えるこうした問題の軽減を同サービス立ち上げの理由のひとつとして挙げていた。

アップルは先月のWWDCで、「Apple Music」の有料ユーザー数が1500万人に達したことが明らかにしていた。「Apple Music」は同社が2014年に約30億ドルで買収したビーツ(Beats)の音楽ストリーミングサービスをベースにしたもの。事業の柱である「iPhone」の売上の伸びが頭打ちとなるなか、アップルはとくに昨年以来サービス事業の育成に力を入れる姿勢を強めている。

【参照情報】
Apple in Talks to Acquire Jay Z’s Tidal Music Service - WSJ
Apple reportedly in talks to acquire Jay Z's Tidal music service - The Verge
Apple in talks to acquire Jay Z's Tidal, Dow Jones reports - CNBC

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