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DTIがPokémon GOのデータ通信料が1年間無料となる新プランを発表、国内でもインターネット中立性に関する議論高まるか

2016.07.20

Updated by Asako Itagaki on July 20, 2016, 07:39 am JST

7月19日、DTIはMVNOサービス「DTI SIM」の新プランとして、1年間特定アプリのデータ通信料を無料とする(ゼロ・レーティング)料金プラン「DTI SIM ノーカウント」の予約受付を開始した。対象はまもなく日本でも提供開始を予定するNiantic Labの「Pokémon GO」で、発生するデータ通信については上限5GBの制限には含まれない。

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DTI SIMはドコモXiのMVNOサービスで、下り最大225Mbps、上り最大50Mbps。月額料金はデータ通信専用SIMで月額1220円、音声付きプランで1920円となる。サービス開始はPokémon GOのサービス開始に合わせるとしている。

先にPokémon GOがサービスを提供している米国では、デイリーユーザー数がTwitterを抜き、滞在時間がFacebookを超えたと報じられるなど、大きなブームを巻き起こしており、T-MobileがPokémon GOを対象としたゼロ・レーティングプランを発表している。

ゼロ・レーティングについては、アプリケーションによって料金の扱いを変えることが、データトラフィックの差別的な取り扱いを認めない「ネットワーク中立性」に反することを問題視する議論もある。インドでは今年2月にゼロ・レーティング禁止のルールが発表され、Facebookが提供していた自社サービスへの接続を無料とする「Free Basics」が停止を余儀なくされた(関連記事)。また、技術的には通信事業者がパケットを解析する必要があり、日本においては通信の秘密に抵触する可能性も指摘されている。

一方で、ネットワーク中立性の厳格すぎる適用は通信事業者のサービス多様化やセキュリティの確保に問題があるという意見もある。先日欧州の主要通信事業者らが発表した「5G Manifesto」では各国政府に対して5Gネットワークの展開に伴う条件として「ネットワーク中立性」ルールの緩和を求めている(関連記事)。

国内で提供されるゼロ・レーティングプランとしては、プラスワン・マーケティングが「FREETEL SIM」でLINE、Messenger等のメッセンジャーアプリのデータ通信無料サービスを提供している。また、LINEがLINE、Facebook、Twitterの通信料が無料となるMVNOサービス「LINEモバイル」の提供を予定している。爆発的に広まると予想されるPokémon GOを対象としたDTI SIM ノーカウントが加わることで、国内でもこれらの点について議論が活発化すると思われる。

Pokémon GOの日本におけるサービス開始は7月中といわれていたが、TechCrunchでは本日(7月20日)と報じている。7月20日6:30AM現在で、Pokémon GOをプレイするために必要な「ポケモントレーナークラブ 」のアカウント登録は、混雑のため新規登録を制限する状況となっている。

【報道発表資料】
「DTI SIM」、『Pokémon GO』のデータ通信料が1年間無料となる新プラン「DTI SIM ノーカウント」を発表

【参照情報】
Pokémon Go、Twitterのデイリーユーザー数を抜き、滞在時間でFacebookを越える(TechCrunch Japan)
日本では明日7月20日(水)にPokémon Goが発売、最初からスポンサー店あり(TechCrunch Japan)
Pokemon Go Mania Sweeps the Country … So T-Mobile Thanks Customers with Free Pokemon Data and More (T-Mobile Newsroom)
FREETEL SIM
LINEがMVNO「LINEモバイル」に今夏参入、LINE使い放題で月額500円から

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。