欧州連合の欧州電子通信規制機関（BEREC）が現地時間30日、域内のネットワーク中立性ルールのガイドラインをリリースしたが、このなかに通信事業者が自社のネットワーク全体に広告ブロック技術を適用することは認めないとする条項が含まれていることが話題となっている。

BERECはこのガイドラインのなかで、「インターネットサービスプロバイダー（ISP）は、ネットワーク中立性の観点から、広告コンテンツの表示について、妨害や低速化、変換や制限、干渉、ネットワークのディグレードや差別などを行うべきではない」としており、通信事業者によるネットワークレベルの広告ブロックに否定的な姿勢を示しているという。なお、このガイドラインはユーザーが個人で広告ブロックアプリをダウンロード・使用することについては制限しておらず、また実際にこのガイドラインに従うかどうかは各国の通信規制当局に委ねられるとされている。

ネットワークレベルの広告ブロックに関しては、イスラセルのシャイン（Shine）というテクノロジー企業が開発を進めており、香港のハッチソン・ワンポア（Hutchison Whampos；以下、ハッチソン）傘下の英携帯通信事業者スリー（Three）がシャインと協力し、英国やイタリアで同技術のテストを開始していた。また、Business Insiderでは、英携帯通信事業者のO2が同様の技術の導入を検討しているという話も伝えていた。

なお、シャインでは、欧州市民には広告によるトラッキングやプロファイリング・ターゲッティングから自らを守る権利があるとし、この権利を侵害する新たなガイドラインは正されるべきとするコメントを出している。

【参照情報】
・Blow to telecoms companies as EU outlaws network-wide ad blocking - FT.com
・The EU really doesn’t want your ISP blocking adverts or pornography - TNW
・The EU says it won't allow mobile carriers to deploy network-level ad blocking - Business Insider