画像はイメージです original image: © chombosan - Fotolia.com
SORACOMがLoRaWANに正式対応、LPWAネットワークをシェアする新しいモデルを提案
2017.02.08
Updated by Asako Itagaki on February 8, 2017, 11:46 am JST
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2017.02.08
Updated by Asako Itagaki on February 8, 2017, 11:46 am JST
ソラコムはIoT通信プラットフォーム「SORACOM」のLoRaWAN正式対応を発表した。SORACOM Airで3G/LTEに加えてLoRaWANが扱えるようになる。
あわせて、SORACOM対応のLoRaゲートウェイとLoRaデバイスの販売を開始する。LoRaゲートウェイの月額利用料金にはSORACOM回線のセルラー通信料金が含まれ、使い放題となる。また、従来SIMの管理を行っていたSORACOMコンソールから、LoRaゲートウェイおよびLoRaデバイスの一括管理が可能となる。
▼販売されるLoRa ゲートウェイ(エイビット社製:AL-020)とLoraデバイス(Arudino開発シールド・エイビット社製:AL-050)
SORACOM Beam、SORACOM Funnel、SORACOM HarvestがLoRaWANに対応しており、通常の利用料金と同じ従量制での利用が可能となる。
LoRaゲートウェイについては、「所有モデル」と、「共有サービスモデル」の2つのモデルで提供する。
所有モデルは購入者がゲートウェイを設置してプライベートなLoRaネットワークを設置できるモデル。自社所有のLoRaデバイスだけを接続できるプライベートネットワークを簡単に構築できる。また任意で特定の相手とゲートウェイを共有できる「シェアドモード」、ゲートウェイの範囲内にあるすべてのLoRaデバイスにゲートウェイを公開する「パブリックモード」に設定することもできる。
共有サービスモデルは、LoRaWANネットワークを「サービスとして」提供するモデルで、契約者はパブリックモードに設定したソラコム所有のLoRaゲートウェイを設置し、設置場所を「共有ゲートウェイスポット」として公開する。
共有サービスモデルでは、契約者がゲートウェイの設置場所を公開し、常時通電しておく義務を負うが、初期費用・月額費用は、所有モデルよりも大幅に安く設定されている。共有ゲートウェイの設置位置情報はソラコムサイト内の「SORACOM LoRa Space」で公開される。共有ゲートウェイスポット周辺では、LoRaゲートウェイを所有することなく誰でもLoRaデバイスが利用できる。ゲートウェイのセルラー側通信(SORACOM Air)の通信量については月額費用に含まれるため、契約者への負担は発生しない。ゲートウェイを共有少数のLoRaデバイスで試作や検証をスタートしたい企業や個人開発者にとってハードルとなっていたLoRaゲートウェイ導入費用の負担を軽減できる。
取組の開始にあたり、ソラコムは企業や団体の協力により全国数カ所に「共有ゲートウェイ」を設置する。将来的には、共有サービスモデルを利用する顧客が増え共有LoRaゲートウェイが設置されるエリアが広がることで、LoRaWANを利用できるエリアは拡充する見込みとしている。
共有サービスモデル発表の背景として、ソラコムの玉川憲氏は、LoRaWANが使用する920MHz帯の電波が貴重な有限資源であることを挙げている。LoRaWANの通信距離は数kmにおよぶことから、今後LoRaWANが普及しプライベートなゲートウェイがそこかしこにあるような状態には限界がくるかもしれないことを指摘。「そのようなことを考えた時、所有するよりも利用する、共有できるところは皆で共有して使う、というシェアリングエコノミーの考え方を適用したほうが、持続可能な社会のためには良いのではないか」(同社オフィシャルブログより)ということが今回の発表のきっかけになっているとしている。
アンライセンスバンドとして広く利用されている2.4GHz帯は、Wi-Fiの普及に伴いアクセスポイントの密度が上がることで、干渉による通信品質悪化が課題となっている。ライフラインに近いIoT通信に利用されると想定され、かつ到達距離が長いLoRaWANでも同様の課題が懸念されるが、ソラコムの「共有モデル」はその点を解消する一つの提案として注目したい。
【報道発表資料】
・IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」が省電力広域通信技術 LoRaWAN™ に対応し、2月7日より対応機器を販売
・IoT 通信プラットフォーム「SORACOM」のLoRaWAN™ 利用においてLoRa ゲートウェイを「共有」する新サービスモデルを開始 LPWA のシェアリングエコノミーを目指す
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登録はこちらWirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。