これまで現実世界のデータを扱うには、その法則性を見つけるために微分が用いられてきた。しかし昨今流行するビッグデータでは、データ量が多すぎるために法則性を見つけることが大変困難であり、微分方程式を適用することもできない。若山が考えるには、ビッグデータとは幾何学的対象であり、複雑な図形をうまく把握することを目指してきた近現代の数学がそこで生きてくるという。さらには、ビッグデータを調べることで、数学者もこれまで知らなかったような新たな法則の記述法が発見される可能性もある。これはすなわち、新しい数学が生まれることを意味している。
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九州大学 マス・フォア・インダストリ研究所 教授 若山正人の語る「価値創造プロセスを革新するための手法」#3
2015年8月28日(金)19:30~22:00
九州大学理事・九州大学マス・フォア・インダストリ研究所 教授 若山正人(わかやま まさと)
http://scholar.tokyo/
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