ヒューマンエラーはなくならない。それを運転支援システムによってカバーするのはとても重要だ。しかし、ユーザが「運転支援システムがあるから注意力散漫で運転しても問題ない」と思ってしまうことを避けなくてはならない。自動車メーカーは、運転支援システムについてユーザのリテラシーを高める努力をしなくてはならない。
不便益系とは、身体的・認知的に手間をかけさせることによって、ユーザが主観的な喜びを得ることができるシステムのことだ。運転支援システムは、手間がかからないことでユーザの利益になるもの(便利益)だが、まだ自動運転技術が不完全な現在、「安全運転は楽しい」と思える仕かけを作ることで、運転の手間を楽しめる仕組み(不便益)を考えることも重要である。
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登録はこちら京都大学大学院 情報学研究科 システム科学専攻 助教。1970年福岡生まれ。1994年京都大学 工学部 精密工学科卒業。1996年京都大学大学院 工学研究科 精密工学専攻 修士課程修了。同年松下電器産業(株)入社。1998年京都大学大学院 情報学研究科 助手、2007年同研究科 助教となり現在に至る。博士(情報学)。人間機械系の研究、とくに自動車の運転支援システムに関する研究に従事している。車両運動力学、制御工学、インタフェース設計論、心理学、ゲームニクス理論などといった複数の分野を横断する学際融合的なアプローチで、運転者に対して、運転技能の向上を促すだけでなく、より良い運転に対する動機づけを行う運転支援システムの構築を目指している。2013年に計測自動制御学会論文賞(友田賞)、2014年に自動車技術会論文賞を受賞。計測自動制御学会、自動車技術会、日本人間工学会、国際交通安全学会、IEEEの会員。