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オプティム CEATEC JAPAN 2017

オプティムの“Just Realize!”は、AIファーストが実現する「今すぐ使えるIoT」

2017.10.24

Updated by WirelessWire News編集部 on October 24, 2017, 07:30 am JST Sponsored by 株式会社オプティム

2017年10月3日、オプティムはCEATEC JAPAN 2017の開幕に合わせ、AI・IoT新製品発表会を行った。「Just Realize!」のコンセプトのもと、鉄道、小売、飲食、製造、電力、医療、介護、建設、ビルメンテナンス、コールセンターの10業界に対して8つの新製品を発表した。

今回の発表の特徴は「AI」を前面に押し出し、なおかつ具体的な業界をターゲットにしていることだ。Googleをはじめ多くのプレイヤーがAIへの投資を強化する中、オプティムはAIを事業戦略の中でどう位置付け取り組むのか紹介したい。

売ってみて分かった、IoTのゴールは「管理と見える化」ではないということ

▼AIをテーマにしたセミナーには多くの人が足を止めていた。
オプティム CEATEC JAPAN 2017

オプティムのIoTへの取り組みは、主力製品であるMDMサービス「Optimal Biz」の延長線上にある。スマートフォンやパソコンだけでなく、ネットワークカメラ、センサー、ウェアラブルデバイス、ドローンなど、「ネットワークにつながるデバイス」を全て一括管理することで、MDMをIoT向けに拡張できるというのが最初の発想だ。2015年3月にコマツの建設現場ICTソリューションであるスマートコンストラクションへの遠隔作業支援サービス「Optimal Second Sight」提供、2015年8月には佐賀大学農学部、佐賀県生産振興部とIT農業における三者連携協定を締結。これを皮切りに、医療、水産、教育などの分野で「○○×IT」によるイノベーションを目指した取り組みを進めてきた。

その過程で課題として浮上してきたのが、さまざまなデバイスを接続するために個別開発・検証が必要となったこと。解決すべく発表したのが、「直感的かつ安全なIoT端末の管理・制御、データの蓄積・分析、クラウドサービスとの連携」をコンセプトにした、「OPTiM Cloud IoT OS」である。

しかしそこで直面したのは、「IoTブームであるにも関わらず、売るのがとても難しい」という現実だった。IoTに対するユーザーの期待は、MDMのように「接続したデバイスを管理し、見える化する」ことではなく、その先にある課題解決が求められていたからだ。管理の仕組みはそのためのものであり、課題への貢献が不明確なまま管理システムが導入されることはあり得ない。

「カメラを接続してクラウド上にデータを蓄積できます」といっても、それだけでは既存の録画サービスに比べて優位性が無い。それではユーザーが導入する意味がない。IoTにより収集したデータを効用に変えるには、人に代わってデータを分析し、判定する仕組みが必要だ。それがあってはじめて、IoTは人にかかるコストを削減し、産業を置き換える新たなビジネスの創造につながる。言い換えれば、IoTへの投資をROIに反映することができる。

その仕組みを実現するものがAIであり、オプティムの考える「〇〇×IoT」を実現するために不可欠である──そう考えたオプティムはAIを「IoTを具体的な効用に変えるエンジン」と位置づけ、2016年5月にAIコンサルティングサービス提供の開始を発表した。自社開発の画像解析技術を応用したAIを農業分野(ドローン空撮画像から虫食い被害や生育状況の確認)や医療・介護分野(カメラ映像による自宅ベッド見守り)などに応用してきたが、「AI」を前面にしたサービスを打ち出したのはこれが初めてだ。

AIが案件リストを「今すぐ使えるIoT」に変えた

オプティム CEATEC JAPAN 2017

今回発表された新サービスはいずれも「OPTiM Cloud IoT OS」をプラットフォームとしたSaaSサービスとして提供され、アカウントを発行することですぐに使用できる。「とりあえずつないでデータを貯める」だけではなく、「AIにより、導入のための投資が具体的な経済効用に直結する」という点にこだわった。従来から取り組んできた農業、水産を加えて、12の業界に対して、AIとIoTによるSaaSソリューションを提供することになる。

▼ブース内には農業・水産業への取り組みを紹介するジオラマも設置されていた
オプティム CEATEC JAPAN 2017

ターゲット業界の選定は、「OPTiM Cloud IoT OS」を発表してから今までにオプティムが集めた「案件リスト」に基づいている。300を超えるリストの中から、「優先度が高い」「複数のユーザーに共通したニーズがある」「オプティムの強みを活かし、収益を上げられる」という3つの視点から絞り込み優先順位を決めた。

AIとIoTといえば真っ先に上がりそうな「自動運転」が含まれないのは、既に先行者が多数おり、今から参入しても収益が見込めないという極めて冷静な判断による。あくまでも実際に引合のあった案件リストに基づき、すぐに使えるサービスに落とし込む。
技術先行でAIモジュールのみを提供し、経済効用(ビジネスモデル)は顧客企業の経営層が考え出さねばならない状況が多い昨今のAI業界では、珍しいアプローチだ。

自社の強みと他社の強みを組み合わせてパッケージ化

オプティムはAI技術の柱を「Vision AI」「Data Mining AI」「Speech AI」「Natural Language AI」の4つに分けている。これらすべての分野を自社で開発するのではなく、柔軟に他社製品を組み合わせることでパッケージとして提供している。

自社の研究開発リソースはネットワークカメラの画像を処理するための画像解析や深層学習、データマイニングに集中している。この分野については他社に比べて自社に技術の蓄積があるため、実案件にパッケージ化することが可能だ。ここから徐々に、開発領域を広げていく計画だ。

AI Physical Security Service(AI監視カメラサービス)駅のホームでの異常行動や線路上の立ち入りをカメラ映像から検知しアラートを発報する。見守りや人物認識にも応用できる。
オプティム CEATEC JAPAN 2017

オプティム CEATEC JAPAN 2017

Smart Retail Management Service(店舗管理支援サービス)店内カメラ映像から空席数を割り出し、ダッシュボード上に稼働率を表示する。物体検出技術により、椅子の上に何かがあっても人が座っているのか荷物なのか、また椅子やテーブルが移動しても検知できる。API連携により空席率が高い時リアルタイムでのクーポン発行による集客などのマーケティング施策も可能。
オプティム CEATEC JAPAN 2017

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AI Predictive Maintenance Service(AI予知保全サービス)設備内機器の数値データによる状態監視を行い、機器の稼働率向上による生産性の向上、また最適なライフサイクルマネジメントを提供する。
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Smart Field(現場管理支援サービス)現場の状況をカメラやスマートグラスによりクラウドに共有し、遠隔地から作業を管理・支援する。
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Smart Home Medical Care(在宅医療支援サービス)AIカメラによる転倒検知、長時間不動検知、長時間不在完治などの見守り機能、テレビ電話による声がけ機能、スマートウォッチを利用したナースコール機能とバイタルデータ収集機能を提供し、病院や施設の在宅医療の取り組みを推進する。
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AI Medical Image Assistant Service
佐賀大学医学部との共同研究により、眼底検査画像データと診断結果を学習したAIで、緑内障、糖尿病網膜症、加齢性黄斑の危険度判定モデルを構築した。
オプティム CEATEC JAPAN 2017

オプティム CEATEC JAPAN 2017

逆に、コグニティブサービス系のAI技術については、IBM Watson、Microsoft Azure、Google Cloud PlatformなどのAPIを積極的に活用する。特に日本語処理について東芝などの国産ベンダーの優れたソリューションを組み合わせて利用している。

AI Call Center Service(AIコールセンター支援サービス)音声解析により通話中の相手の質問を理解し、回答候補を表示することでオペレーターを支援する。またテキスト化された質問をデータベース化して、チャットボット、Q&Aサイト生成、自動応答メールなど、自動応答でコールセンターを支援する。
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AI Voice Analytics Service(AI音声解析)作業記録、会議記録、講義記録などの音声からタイムライン付きでテキストファイルを生成するWebサービス。
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サービスは「OPTiM Cloud IoT OS」をプラットフォームとして開発しているので、複数デバイスやクラウドをAPIで接続して一つにパッケージするのはお手のものだ。

すべてのリソースを「AIファースト」で再配置

AIコンサルティングサービス提供開始の発表前に、オプティムは大きな決断をしている。進行中の技術・製品開発をいったん全てストップし、経営資源を全てAI中心に再配置したのだ。

実はオプティムにとって、「いったんこれまでの投資を見直し、新しいチャレンジに全てを集中する」のは初めてのことではない。オプティムが急成長を遂げるきっかけとなったNTT東西向けの「フレッツかんたん接続」に取り組むことを決めた時、そして2011年、スマートフォン・タブレット市場を押さえるために、既に市場ナンバーワンシェアだったPC管理サービスの開発を止め、MDMサービスの開発に全力を注ぐ決断をした時だ。

過去2回のドラスティックな変化を乗り越えたのは、創業以来オプティムを支え続けるエグゼクティブエンジニアの奥村佳雄氏(プラットフォーム事業本部 R&Dチーム)だ。変化のたびに率先して新たなスキルセットを身につけ、開発部隊をリードしてきた奥村氏は、今回も深層学習のプロフェッショナルとしてチームをけん引してきた。

奥村氏にいち早くキャッチアップしたのは、社内でも経験の浅い若手のエンジニア達だ。彼らは空っぽの器に水を注ぎこむように、新しい知識をどんどん学習していく。その後にオプティム生え抜きのエンジニア達が続いた。新たな分野にチャレンジするには、これまで積み上げてきた知見を一度リセットしなくてはいけないこともある。だが、オプティムの技術陣には、それを恐れず、ゼロから勝負する文化が根付いている。

▼AI予知保全サービス開発の中心となった徳田祐二氏(プラットフォーム事業本部R&Dチーム)は、「Optimal Biz 」の開発でもAndroid OSをコードレベルまで知り尽くしていたエンジニア。現在は機械学習を極め、異常検知のアルゴリズム開発に取り組む。
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▼CEATEC2017の会場でも大人気だった眼底撮影画像から緑内障の危険度を判定するアルゴリズムを開発した斎藤 鴻氏(プラットフォーム事業本部 R&Dチーム)は、2016年度入社の若手エンジニアだ。
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▼営業、企画などでも、若手社員が活躍する
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案件リストにはまだまだ課題が並んでいる。「AIファースト」へ舵を切ったオプティムは、AIとIoTによるイノベーションで、着実に社会を変えていこうとしている。

【参照情報】
OPTiM CEATEC2017特設サイト

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