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IoTとAI、LPWAを活用した「エビをタイで作る」プロジェクト、IIJが実証実験を開始
2018.05.15
Updated by Naohisa Iwamoto on May 15, 2018, 16:04 pm JST
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2018.05.15
Updated by Naohisa Iwamoto on May 15, 2018, 16:04 pm JST
IoTの活用分野として、これまでIT化がなかなか進められてこなかった農林水産業が着目されている。そうした中でインターネットイニシアティブ(IIJ)は、タイのエビ養殖場にIoTセンサーを設置して養殖事業の生産性向上を目指す実証実験を実施する。
IIJが実施するのは「IoT導入による養殖事業の生産性向上プロジェクト」で、日本貿易振興機構(JETRO)の公募事業である「日 ASEAN 新産業創出実証事業」として採択された。タイのエビ養殖場には、水温・溶存酸素、pHなどの水質環境情報を自動的に収集するIoTセンサーを設置。さらに、給餌や水替えといった職員の作業をデータとして登録し、IoTセンサーから得られた水質環境の変化と作業の相関関係をAI(人工知能)によって分析する。ここから得られた知見を用いて、養殖事業の作業効率や生産性の向上を目指す。
東南アジアでは、養殖業は重要な輸出産業で、生産性向上による競争力強化が求められている。一方で、現状のエビ養殖事業では、水質環境の把握とその変化への対応が作業員のノウハウに依存している。適切な対策が施されないために生育過程で死んでしまうエビが大量に発生するといった課題があり、これをIoTとAIを活用した技術で解決し、生産性向上につなげたい考えである。
センサー情報は、LPWA(Low Power Wide Area)通信技術の1つである「LoRaWAN」を利用して、低消費電力、長距離の無線通信を低コストで実現する。LoRaWANで収集したセンサー情報は、IIJグループが提供するIoT向けグローバルSIMの「Vodafone IoT SIM」を介して、クラウドサービス上に集約する。クラウド上に収集した水質情報は、パソコンやタブレット、スマートフォンの専用アプリから確認が可能で、さらに飼育作業をアプリに入力することで、水質と作業の相関関係の分析を可能にする。
IIJでは、2018年4月より実証実験を開始。養殖事業におけるIoT活用の有用性を検証した上で2年以内の事業化を目指す。
【報道発表資料】
・IIJ、JETROの公募事業「日ASEAN新産業創出実証事業」を受託し、タイで「IoT導入による養殖事業の生産性向上プロジェクト」を開始
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