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5GAAが目指す2020年のセルラーV2Xの車両実装を後押し、ノキアが取り組みを紹介

2018.11.01

Updated by Naohisa Iwamoto on November 1, 2018, 06:25 am UTC

LTE(4G)や今後商用化される5Gなどのセルラー通信を使って、自動車とさまざまなモノの間の通信を実現する「セルラーV2X」。ノキアは、セルラーV2Xや自動車のコネクテッド化の最新動向についての説明会を開催し、セルラーV2Xの動向やノキアの関わりについて説明した。

ノキアでコネクテッドカーなどCar2X事業責任者を務めるウベ・プュッツラー氏は、「自動車には通信が一段と必要になっている。通信を利用する要件の中で、インフォテイメントや交通の効率化といった側面での利用は進んでいるが、自動運転や安全安心の側面ではまだ発展が必要だ。ノキアでは、いかにしてネットワークを活用して自動車の信頼性や予測可能性を高めるかに注力している」と語る。

▼セルラーV2Xの活用イメージ

2020年の車両実装を目指す5GAAの活動

自動車と、他の自動車や自転車、歩行者、信号システムなどのインフラなどさまざまなモノの通信を実現する考え方が「V2X」(Vehicle to Everything)で、その中でセルラー通信を活用してV2Xを実現する方法が「セルラーV2X」と呼ばれている。セルラーV2Xを推進する団体として、2016年に5GAA(5G Automotive Association)が設立されて活動を進めている。

プュッツラー氏は、「発足当初の5GAAは、アウディ、BMW、ダイムラーのドイツ大手自動車メーカー3社と、エリクソン、インテル、ファーウェイ、ノキア、クアルコムの技術関連企業5社の合計8社がメンバーだった。ところが2018年10月に東京で開催した5GAAの会合のタイミングまでに100社を超えるメンバーにへと拡大した。日本企業も、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3大キャリア、日産自動車や本田技研工業といった自動車メーカー、パナソニックやデンソーなどが名を連ねている」と現状を説明する。標準化組織ではなく、技術を車両に導入することを目的とし、2020年に実際の車両にセルラーV2Xを実装することを目指している。

▼5GAAの6つのワーキングエリア

5GAAでは「5G New Radio(NR)の導入」、「V2N(Vehicle to Netowark)の推進」、自動車-スマートフォン-家庭といった「エコシステムの接続」、「スマートデバイスによる制御」、「エッジコンピューティング」、「相互運用」の6つの分野をワーキングエリアとして活動している。2018年にはワシントンとパリでセルラーV2Xのデモを行うなど、活動を進めているという。

ノキアは5GAAと協力して、現行のセルラー方式である4Gから今後の5GへのセルラーV2Xの対応を推進する考えだ。「5Gには超低遅延性やネットワークスライシングなどの新しい性能や機能がある。こうした性能や機能を使って、将来の自動運転を通信技術を用いてサポートしていきたい」(プュッツラー氏)という。

一方で、トヨタ自動車などが推進するDSRC(狭域通信:Dedicated Short-Range Communications)方式との関係については「しばらくは両方式が併存するだろう。しかし複数の方式が併存するのは良い状態ではない。セルラーV2Xを採用することを表明する自動車メーカーは増えている」(プュッツラー氏)として、5Gの商用化が始まることでセルラーV2Xが優位に立つ可能性が高いことを示唆した。

国内のセルラーV2Xトライアルの成果も

説明会では、国内におけるセルラーV2Xの実証実験の解説がノキアソリューションズ&ネットワークス テクノロジー統括部長 柳橋達也氏からあった。これは2018年4月にKDDIとノキアなどが北海道で共同実施したもの。実証実験では、(1)車載のセンサーなどから得られる情報に加えて、セルラーV2Xで得られる広域性のある情報の活用、(2)セルラーのブロードキャスト(eMBMS:evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)を活用した位置情報の高度化--が検証された。

(1)では、先行する車両の車載センサーなどで得た情報を、セルラー通信を介したモバイルエッジコンピューティングにより後続車両に送り、危険情報などのベントを表示することに成功した。モバイルエッジコンピューティングのノードでは、分析エンジンが稼働して情報を解析、判断した上で、後続車両などLTEエリア内の車両に情報を再分配したという。

▼GNSS補正信号をブロードキャスト方式で配信した場合(左)、ユニキャスト方式とのズレは2cm以下に抑えられた

(2)では、高性能な位置情報の取得をゴールとした。GPSなどの衛星を使うGNSS(全球測位衛星システム)では、位置情報のズレが生じる。これを補正するためのGNSS補正信号サービスが提供され、補正信号を使うことで正確な位置を求めることができる。一方で、補正信号サービスの利用にはコストがかかり、1台ごとに受信するユニキャスト方式では一般の車両では利用が難しい。そこでセルラー通信のブロードキャスト方式の1つであるeMBMSを利用して、エリア内の車両に一斉に補正信号を送信することで実用性を確保する。実際に実証実験の結果では、ユニキャスト方式とeMBMSを使ったブロードキャスト方式では、位置情報のズレが2cm以下に抑えられ、セルラーのブロードキャスト方式が有効に活用できるシーンが確認できたという。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。