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日本のテック企業の新型肺炎感染者が海外で驚かれた理由

Japanese coronavirus positive reflects Japanese way of working

2020.02.18

Updated by Mayumi Tanimoto on February 18, 2020, 10:17 am JST

日本から発信される新型コロナウィルス関連のニュースは、サプライチェーンや今後の東アジアのビジネスにも大変大きな影響がありますので、テック業界でも注目を集めています。先日、大変驚かれたのが、日本の感染者の一人がNTTデータの下請けの従業員で、40度の熱があるのにも関わらず通勤し夜10時まで勤務していた、ということです。

そもそもイギリスでは、この方が下請け業者の従業員で物理的に通勤していた、という点が大変に驚かれたのです。

しかも、オフィスは東京のど真ん中であり、大変地価の高い場所です。

イギリスだと、この従業員がやっていたような業務は海外に外注してしまうことが多いですから、わざわざ高いオフィスに来て仕事をしていたということに驚いている人が少なくないのです。

次に驚かれたのが、夜10時まで仕事をしていたということですが、これもイギリスの IT業界だと大変珍しいことです。

通常は定時でしか仕事をしませんし、それは下請け業者でも同じです。残業すると割増賃金を払わなければなりませんので、一番嫌がるのは元請けのクライアントなのです。

労働時間の水増しは基本的にしませんから、サービス残業して納期を間に合わせるということはあまりありません。

こんな風に連日5時間ほどの残業をしていたら、そのプロジェクトのコストはどんどん高くなってしまいますから、プロジェクトマネージャーやファイナンシャルコントローラーがPMO(Project Management Office)でいろいろと突っ込みを入れてきます。

さらに、熱があるのに仕事をしていたというのも驚かれることで、 イギリスであればこれを一番嫌がるのは元請けの会社です。なぜなら、具合が悪いアウトソーサーをオフィスの中に入れて働かせたということで、自分の会社の従業員や別の下請け業者の従業員に訴えられてしまう可能性が高いからです。

これはつまり、職場の安全管理義務違反ということです。

また、下請け業者のこの従業員の立場であれば、自分の会社の管理職やプロジェクトマネージャー個人、さらに会社を訴える可能性が高いです。

なぜなら、病気であるという証明書を医師からもらうことができますし、病気の人を働かせるということは完全にパワーハラスメントですから、損害賠償を請求することは難しくありません。完全に証拠が残っていますから、これは会社にとって大変不利なことです。

日本もどんどん多国籍化していきますから、今後はIT業界でもこういった働き方は、それほど遠くないうちに通用しなくなる可能性が高いです。従業員や下請け業者に外国人が増えると、コスト管理に突っ込みを入れる人が出てきますし、会社側をどんどん訴えますから無理な働き方を強要できなくなります。日本のテック業界は、働き方に関して先行する北米や欧州から事例を学ぶべきでしょう。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。