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IoTの重要性がさらに高まるコロナ後の世界

Importance of IoT in post-Corona era

2020.05.23

Updated by Mayumi Tanimoto on May 23, 2020, 08:00 am JST

ワクチン開発の先行きが見え始めてコロナ後の世界に関する議論が徐々に増えてきていますが、私個人が注目すべきと考えているのが、IoTのさらなる活用です。

IoTのエッセンスは、マシン対マシンの対話によりサービスが実行されることです。人が介在しないので最初からポストコロナ対策です。

既に人件費が高いイギリスや欧州では、日本よりも IoT がかなり活用され始めていますが、コロナによってより洗練されたソリューションの実装が加速していくはずです。

例えば身近なところでは、街灯のリモート管理です。すでにイギリスの自治体では、実装されているところがかなり出てきています。担当者がチェックに行く必要がありませんし、エネルギー効率を考えた管理が可能になりますから、公共サービスのコスト削減に大変貢献しています。また、基本的に遠隔管理が可能ですから、コロナ時代に適合したサービス形態です。

スマートメーターも、電気やガス会社を変更するとメーターが使い物にならなくなるといった問題があったり、思ったほど節約にならないという批判があるために、実装には思った以上の時間がかかっていますが、これもコロナによって普及が後押しされるでしょう。イギリスでは、検針員の人件費が高いのでメーターの実装が進んできたという側面があります。

スピード違反の取り締まりは、イギリスでは既に20年以上前からリモートによるサービスが主流になっています。

これは、イギリスでは警官になりたがる人が少なく、日本に比べると遥かに凶悪犯罪の数が多いため、交通違反の取り締まりの人手が足りないというのが理由の一つです。ナンバープレートが自動的に読み込まれて違反切符が家に送付されます。これも、コロナによってさらに進化してよりスマートなサービスになるでしょう。

スピード違反の取り締まりに似ていますが、イギリスでは駐車場の管理もかなり前からリモートが当たり前になっています。スーパーや病院の駐車時間や場所の管理も、リモートで半自動化されています。 ナンバープレートが読み込まれるので、違反をすると家に罰金の督促状が届きます。その辺のスーパーのボロボロの駐車場でも実装されていたりするので気が抜けません。イギリスは変なところでハイテクです。

IoTを活用したビルの清掃サービスも、さらに増えていくでしょう。これは、イギリスでは既に数年前から実証実験から実装のフェーズに入っていますが、掃除した場所をセンサーでチェックしたり、清掃員を派遣せずにロボット遠隔操作して清掃するのが普及し始めています。清掃員が手を抜いて実は掃除をしていない、というのが実装され始めた原因の一つです。

日本でも遠隔清掃マシンを見かけることがありますが、今後、おそらく清掃担当者が他の人と接触しないようにリモートで作業する場所を管理したりするといった、より洗練されたソリューションも考えられるでしょう。

日本は、イギリスや欧州の他の国と異なり現場で作業する人々が大変仕事熱心で、 村社会的な感覚があって相互チェックが厳しいので、他の国であればIoTなどを導入して自動化するところを人がやってきましたが、コロナ時代に発生するリスクの管理を考えると、あまり好ましい状況であるとはいえません。

IoTの導入に関して、従業員や顧客の視点から見直していく必要があるでしょう。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。