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2025年問題の解決につながるAIによる運用の自動化はどこまで実用化されているのか

2025年問題の解決につながるAIによる運用の自動化はどこまで実用化されているのか

2021.08.02

Updated by AI Automation on August 2, 2021, 09:30 am JST Sponsored by Tupl

AI(人工知能)、その中でも幅広く効果が認められてきた機械学習は、人手では煩雑になり解決に時間がかかるような業務を自動化する分野でも力を発揮する。大量なデータを元に状況を判断して、最適な状況になるように業務の自動化を支援するソリューションであり、業種や業態に関わらず有効性が高い(関連記事:機械学習を用いたプロセス自動化成功のカギは「前処理」にあり)。

米Tupl(トゥプル)のアジア太平洋地域責任者の菅野真一氏は、そのような「AIを活用した業務自動化のソリューションはすでに世界で実用化が進み、明確なメリットを見出すようになってきている」と言う。Tuplは2014年に設立し、シアトルに本社を構える自動化ソリューションの開発・提供企業であり、設立前からネットワーク業界に対するソリューションの提供を続けてきた。

すなわち、すでに実用化しているAIによる業務自動化のソリューションの多くは、ネットワーク業界でのユースケースということになる。特にモバイル通信では、様々な状況変化に対応しなければならない無線による通信というインフラを取り扱う。大量のデータを分析した上での業務自動化の効果は、実際の事例からも明らかだ。ここからは、Tuplがすでに提供している通信業界における4つのAI業務自動化ソリューションのポイントを確認していきたい。

菅野真一氏

顧客からのクレームへの対応を自動化

最初に紹介するのが、ACCR(顧客クレーム対応の自動化)ソリューションである。ACCRはAutomated Customer Complaint Resolutionの略で、カスタマーケアのコールセンターにクレームが入った際の業務を効率化する。具体的には、通信事業者のサービス利用者からクレームの申告があった場合に、クレームをトリガーにしてリアルタイムに自動的に対応策や回答案を作成するというもの。「クレーム情報を自然言語処理(NLP)によってどういう問題か判別し、AIを使ってネットワークの状態を確認して原因を究明した上で、対応策や回答までを作ってくれます。従来ならばクレームが入ってからネットワークエンジニアがデータベースやツールを使って調査して、原因を特定してから対応策を作る作業に数日かかることが一般的でした。これが2〜3分でできてしまうのです」(菅野氏)。

AIを活用した自動化ソリューションとしてTuplがACCRを最初に実用化させたのは、米国の特殊事情も関係しているようだ。菅野氏は「米国はクレームが多い社会で、モバイル通信事業者には1週間に1万件にも上るクレームがあります。日本では月に1000件にも満たないと聞きますので、2桁ぐらい多いのです。クレーム対応のためにオペレーターやエンジニアを採用して教育しても対応が追いつかず、自動化への要求が高かったソリューションです」と説明する。

ACCRをさらに発展させた位置づけにあるのが、Proactive Care(ユーザー品質悪化自動検知/対応)ソリューションである。米国では日本に比べて格段に多くのクレームがあるとは言っても、そのクレームは氷山の一角であり、さらに多くのユーザーはクレームを上げずに我慢して使ったり、不満から他社のサービスに移ったりする。クレームが申告された際の状況を分析して対応策を編み出せるACCRがあるのならば、ユーザーからの申告がなくても同様にネットワークの状況の悪化を検知してプロアクティブに対応できるのではないか。これがProactive Careの考え方だ。「Proactive Careでは自動的に状況の悪化を検知して、バーチャルのトラブルチケットを発行して、原因特定や対応までが自動化できます」(菅野氏)。

米国の大手通信事業者のT-Mobileは、ACCRとProactive Careを導入して、大きな成果を得ているという。導入以前はクレームに対する回答時間は複雑なものは45時間程度かかっており、未解決の問題も40%ほどあった。これにエンジニアやオペレーターの作業時間が加わっていた。ACCRの導入により、平均解答時間は1時間に、未解決の問題は10%にまで減り、エンジニアの作業時間も90%という大幅削減につながった。菅野氏は「クレーム発生前に対応を可能にするProactive Careと併せて、100億円を超える年間コスト削減を実現して社長表彰を得たと聞いています」とその効果を伝える。

「クレーム対応で頭を悩ませている事業者や、エンジニアの人手不足に対応できるソリューションです。さらに現在のようにIoTデバイスが急激に増える中では、Proactive Careのようなソリューションは必須になってきます。日本でもARPU(1契約当たりの月間平均収入)は下がりコストを掛けられなくなった上に、2025年問題で人材が不足してくると、これらのソリューションの価値がより高まっていくでしょう」(菅野氏)。

さらに人手をかけずに問題解決まで自動化

3番目のソリューションが、Network Advisorである。ACCRやProactive Careは、基本的にはクレームを申告する1ユーザーの視点からネットワークの状況の悪化などを検出して対応策を講じていく部分の自動化だった。一方で、Network Advisorはよりネットワーク視点で状況を監視、把握してトラブルシューティングやネットワーク品質全体の向上、プランニングへの活用するためのツールとなる。「ハンドオーバーの状況やスループット、遅延の数値など、基地局が提供するセルの全体の状況を確認しながら、ネットワークの品質悪化を自動的に検知し、改善を試みるソリューションです」(菅野氏)。高度なネットワーク技術を持つエンジニアによる分析を、AIにより自動化できるようになり、あるオペレータでは1日3000件以上発生するネットワークの品質劣化を検知、自動で原因分析、対策までを実行する。

最後に紹介するのはNOC Automation。ネットワークオペレーションセンターの自動化を実現する部分に機械学習を活用したソリューションである。ネットワークからアラームが上がった場合、これまでであれば最終的にはネットワークエンジニアが対処する必要があった。それを、アラームの履歴や相関の情報から、適切な対処のアクションまでを自動的に機械学習が導き出し、問題解決までを自動化してしまう。トラブルに対して、オートクローズができるというわけだ。

ネットワーク運用時のトラブルシューティングを自動化するために、Tuplではすでにここまで紹介した4つのソリューションを提供している。自動化を求める領域やレベルに応じて、それぞれのソリューションを適用していくことで、すでに多くの通信事業者様と運用の自動化を実現している。

もちろん、日本を含む世界の大手通信事業者は、運用の自動化の分野に手つかずだったわけではない。菅野氏は、「例えばT-Mobileも、問題解決のためのツールを持っていました。しかし、必要なところに部分最適化した自動化ツールが多く点在して、担当部署もセキュリティレベルもアクセス方法もバラバラであり、現実的にネットワークをトータルで運用自動化することには対応できていませんでした。ネットワークの専門家とAI、機械学習の専門家を抱えるTuplのような専門業者だからこそ、TuplOSで全体のフレームワークを活用し、自動化ソリューションを早期かつ包括的に提供していくことができたと考えています」と専門業者の優位性を説明する。

遅れてきた標準化の流れにも対応

ネットワーク運用の自動化は、世界の標準化団体や業界団体でも議論が始まっている。無線アクセスネットワーク(RAN)のオープン化とインテリジェント化を目的とするO-RAN Allianceでは非常に活発に活動がなされており、機械学習を用いてポリシーを決定する「Non Real-Time RIC」のエリアはTuplがこれまで長年取り組んで実用化を推進してきたエリアである。また欧州電気通信標準機構(ETSI)でも「ZSM」(Zero Touch Network and Service Management)など、通信の完全自動化に向けた取り組みが行われている。その他にも、情報通信事業者向けの通信ネットワーク運用管理システムの相互接続性の向上と共通課題の解決を目指すTeleManagement Forum(TM Forum)、オープンソースのオーケストレーションおよび自動化フレームワークであるOpen Network Automation Platform(ONAP)プロジェクトが積極的に取り組んでいる。

菅野氏は、「こうした団体や標準化組織が取り組みを始めているネットワーク運用の自動化を、Tuplではすでに同等の機能を備える実用化されたソリューションとして提供しています。今後、こうした標準が出来上がってきたときに、適切なインタフェースを作ることで、標準への対応も可能になると考えています」と語る。

Tuplが取り組んできたネットワークの運用の自動化は、このようにすでに実用に入っており、様々な運用の自動化に取り組んでいる事業者も国内外に数多くある。AI、機械学習を活用して、モバイル通信インフラの複雑な状況を把握しながら運用の自動化が実現できるソリューションの実力を、まずは実感してほしい。

【関連情報】
AIによる運用自動化ソリューションを提供する Tupl(英語版サイト)
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メールでのお問い合わせはこちらまで sales-japan@tupl.com

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特集:AIによる運用の自動化が拓く世界

複雑化、多様化そして高度化する世界。こうした世界を適切に管理し、価値ある情報を読み取っていくには、人間の能力による対応では限界があります。AI(人工知能)、機械学習による自動化ソリューションを適切に使うことで、多くのインプットから適切な情報を読み取ることが可能になるのです。本特集では、AIによる自動化ソリューションを提供するTupl(トゥプル)が、様々な世界で自動化がもたらす価値についてお伝えします。(提供:Tupl