photo by 佐藤秀明
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太陽光発電と蓄電池が変えたエネルギー業界の変化スピード
再エネ関連の報道で取り上げられるデータが古いことは、しばしばある。そしてそれを批判する記事も少なくない。日経クロステックでも『再エネやEVの批判者が使う“古いデータ”が日本をおかしくする』という記事が公開されており、かなり具体的にデータの使い方への批判がなされている。
元来、エネルギーは比較的変化がゆっくりした産業だった。そのためかつての感覚で考えていると、数年前のデータで議論に臨んでしまうことは、カルチャーとしては理解できなくもない。しかしそんなエネルギー業界にも、部分的に変化が激しいものが入ってきた。その典型が、太陽光パネルと蓄電池である。太陽光パネルや蓄電池の価格変化のスピードは非常に速いため、ほんの数年前のデータを引用するだけでも話が変わってきてしまうのだ。そのため、最先端のデータを見ている立場からすれば、数字が古くては意味がないと感じられるだろう。
批判者も推進者も情報の選別をおこなう
多くの場合、人が情報を得るときは情報の選別が行われている。どんなに客観的に判断しようとしても、どうしても「好き嫌い」が入ってしまうものだ。また、注目する側面も個々人の関心事項によって変わっていく。これはエネルギーに関する情報に関しても同じである。だから「古いデータを使って印象操作をしようとしている」という批判は実はあまり意味のあるものではない。出典データの新しさに関わらず、メッセージというもの自体が通常「偏った」ものだからである。
確かに古いデータを用いて再エネやEVを批判する人々は少なくないようだが逆もしかりで、良さをアピールするために部分的なメリットだけに注目して過度にアピールしている場合もたくさんある。批判する方も推進する方も、お互いデータを部分的に切り取っているのだ。
※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
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