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IoTデータの分析にChatGPTを活用、ソラコムが分析サービスを提供

2023.07.12

Updated by Naohisa Iwamoto on July 12, 2023, 06:25 am JST

ChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)を使った生成AIの活用が進んでいる。企業利用ではチャットボットの高度化などでの利用が目立つが、ソラコムはIoTデータの分析や自然言語の表示にChatGPTを活用した分析サービス、「SORACOM Harvest Data Intelligence」のPublicBetaの提供を2023年7月6日に開始した。

ソラコムの年次カンファレンス「SORACOM Discovery 2023」で、同社代表取締役社長の玉川憲氏は、「ChatGPTなどの生成AIに着目している。これまでも社内でChatGPT Plusを全員に利用可能にしたり、技術的な質問に答えるボットの運用などに利用したりしてきた。そうした中で、IoT分野のデータ分析への応用を考えた」と説明する。

ソラコムは、IoTプラットフォーム「SORACOM」を提供する中で、IoTデバイスからのデータ収集・蓄積を支援するサービスの「SORACOM Harvest Data」を提供している。このサービスでは、データ通信サービスやデバイス管理サービス、各種ネットワークを通じて送信されるデバイスのデータをSORACOM側で蓄積し、データの可視化を容易にする。これにChatGPTによる分析、自然言語による結果の表示の機能を組み合わせたのがSORACOM Harvest Data Intelligenceというわけだ。

玉川氏は、「『Ask AI(AIに聞く)』というボタンを押すだけで、IoTデバイスが生成した時系列データをChatGPTによって解析できる。データの異常値やトレンド、欠損データなどの情報が、ワンクリックで自然言語によって得られる。専門家でなくても、生のデータから解析した結果を把握できる。地図上のデータも解釈できるため、ひと目で地理的な異常値の検出もできる」と語る。

テキストベースのデータを入力値として、ChatGPTに分析させることによって、自然言語で分析結果を得られることになり、データサイエンティストなどの専門家の代わりの役割を果たす可能性がある。対話型のアプリケーションであるChatGPTの特性を活かし、分析結果に対して追加の質問をして理解を深めることも可能だ。

こうした生成AIやLLMの活用について、ソラコムはAIの社会実装などを手掛ける松尾研究所ととともにIoT分野での活用を研究・推進するチーム「IoT x GenAI Lab」を設立したことも発表した。松尾研究所は、東京大学大学院工学系研究科の松尾研究室とビジョンを共有する研究機関。IoT分野での活用に特化した、顧客ニーズに基づくユースケースの調査や新価値創造を進める。

【報道発表資料】
ChatGPTを活用してIoTデータを分析する「SORACOM Harvest Data Intelligence」の提供を開始
ソラコム、松尾研究所とIoT分野におけるLLMの活用を研究・推進する「IoT x GenAI Lab」を設立

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。