写真:Leon Rafael / shutterstock
写真:Leon Rafael / shutterstock
データを使って企業の戦略策定のレベルを上げ競争力を高めることは、もはや当たり前のこととなってきました。しかし、多くの企業でデータの活用は中央集権的なアプローチとなっており、データの活用は限定的です。
必要な情報を生み出すための加工、明確化するのは熟練の分析者でも時間がかかる
データを利用する際に課題となるのは、それを使う人々のデータに対する理解を深める必要があり、かつその学習コストが高いということです。データを分析するためのSQLやDBなどといった技術的な知識を身に付けるだけでなく、データそのものについてへの理解を深めなければなりません。実は、目の前にあるデータがどこから来ていて、どの程度の信頼性があり、必要な情報を生み出すためにどんな加工をすべきなのか明確化することは、熟練の分析者でも時間がかかるものなのです。
構成員(社員)にデータを正しく使ってもらうためには、データの品質を高める必要があります。品質を保証できるようにして、誤りや矛盾などの問題がないような正しいデータを作らなければなりません。これはすべての前提として求められることです。
品質の高いデータが揃ったら、次は利用しやすいデータに整えなければなりません。正しいデータがあるだけでは、専門家以外の人が気軽に分析することは難しいでしょう。分析者は必要なデータを抽出/集計するためにどのようにデータを結合し処理していけば良いのかを理解する必要があります。これは分析の目的やビジネス、ドメイン、データベースの特性を踏まえて考えなければならないため非常に複雑な工程です。
ミールキットのようなデータマートを活用する
このような問題への解決策の一つが「データマート」を構築することです。データマートは、ドメインや部門に合わせてカスタマイズされたデータセットです。特定の用途に絞り込んだデータセットを利用することで、幅広い人がデータへアクセスして迅速かつ適切に分析を実行する一助となります。
データマネジメントを料理に例えるなら、品質の高いデータとは質がよく最低限の下処理がされた食材です。魚であれば新鮮で血抜きと内臓がきれいに取り除かれたような状態でしょう。ここから自分たちが食べたい料理を作るには必要な食材を選び、切ったり焼いたりと調理する必要があります。当然、そのためには多様な知識と経験が求められます。
それに対して、データマートはミールキットのようなものです。必要な加工や調理が完了しており、必要に応じてちょっとした一手間で食べたい料理を作ることができます。ミールキットはそれ自体を作る手間が必要であり、また他の料理にすることは難しいのですが、食べたいものが決まっているなら便利な存在です。
※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の前半部分です。
(「データマートで、データの民主化を阻む壁を壊す」について続きを読む)
この筆者の記事をもっと読む
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちら