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TDK、エネルギー密度100倍の全固体電池材料の開発に成功

5G News Jul 3rd. week, 2024

2024.07.10

Updated by Wataru Nakamura on July 10, 2024, 17:00 pm JST

電子部品メーカーのTDKは6月17日、従来品に比べてエネルギー密度が約100倍の画期的な全固体電池の材料開発に成功したと発表した。1リットル当たり1000ワット時というエネルギー密度で、ワイヤレスイヤフォンやスマートウォッチのようなデバイスへの活用が想定されているという。

新たな電池材料は、酸化物固体電解質とリチウム合金負極を採用したオールセラミック製。高い蓄電能力のほか、酸化物による高い熱安定性や安全性が特徴。ウェアラブルデバイスのほか、環境センサや既存のコイン電池の代替製品などにも使用できるという。

全固体電池は、リチウムイオン電池の代替電池としても期待されており、トヨタや日産などの自動車メーカーも開発に注力している。ただし、TDKが新たに開発したセラミック材料は大型化した場合に脆く、自動車やスマートフォン向けの電池に利用するためには技術的課題がある。

TDKは、スマートフォン向けの小型リチウムイオン電池で世界シェアの50〜60%を誇り、アップルやテスラのサプライヤーとしても知られている。同グループは、来年から新たなバッテリーのプロトタイプの顧客向けサンプル出荷を開始する予定で、その後に量産を移行したい考えだという。

同社の齋藤昇CEOは「新たに開発した固体電池用材料が、社会のエネルギー転換に大きく貢献できると信じています」とし、「早期の商業化に向けて開発を進めていきます」とコメントしている。

資料

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中村 航(なかむら・わたる)

1985年生まれ。福岡県福岡市出身。翻訳者。テクノロジーやファッション、伝統工芸、通信、ゲームなどの分野の翻訳・校正に携わる。WirelessWire Newsでは、主に5G、セキュリティ、DXなどの話題に関連する海外ニュースの収集や記事執筆を担当。趣味は海外旅行とボードゲーム。最近はMリーグとAmong Usに熱中。

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