[2014年第7週]楽天がViberを買収、ウエアラブルはペットまで拡大、auIDでリアルの決済
2014.02.17
Updated by Naohisa Iwamoto on February 17, 2014, 23:00 pm JST
2014.02.17
Updated by Naohisa Iwamoto on February 17, 2014, 23:00 pm JST
まずこの週の大きな話題といえば、楽天によるViber Media,Ltd.(以下Viber社)の買収のニュースだろう。Viber社はモバイルメッセージング・VoIPサービス「Viber」を展開している企業。グローバルでメッセージや音声のサービスを提供するViber社を取り込むことで、新しい市場の開拓を目論む。
楽天は、総額9億米ドルを出資してViber社の発行済み株式を100%取得する。楽天は、Viberの持つ顧客基盤を活用し、ECサービスやデジタルコンテンツサービスをグローバルに提供するプラットフォームを構築する。楽天のECサービス事業とインターネット金融サービス事業による既存のサービスに加えて、今回の買収で新たに得る数々のデジタルコンテンツサービスによって、新規市場を開拓できるとしている(関連記事:楽天、9億米ドルの出資を行いViberを子会社化)。
スマートフォンやモバイル端末を活用する技術、サービスのトピックを紹介する。まず、ペットの管理向けのモバイル端末とサービスの発表から。NTTドコモは、離れた場所から愛犬の様子を確認したり、日々の健康管理ができるほか、迷子になっても居場所を確認できる、新サービス「ペットフィット」を2014年3月から提供する。ペットフィットは、愛犬にタグを装着することで、寝ている、休んでいる、歩いている、走っているといった愛犬の状態と周辺温度を計測してクラウドに送信・蓄積する。これに合わせて、愛犬に装着する「ペットフィットタグ 01(以下「タグ」)」と、自宅に置いてタグと連携させて利用する「ペットフィットステーション01(以下「ステーション」)」を新たに開発した(関連記事:ドコモ、3G搭載端末とクラウドで愛犬を見守るサービス「ペットフィット」を開発)。
スマートフォンのカメラを安全に業務利用できるソリューションも発表された。トヨタ自動車九州とTRIARTは、企業機密を保持しながらiPhoneのカメラ機能を業務に活用できる世界初のセキュアなカメラソリューションを共同開発した。このソリューションでは、iPhoneのカメラ制御機能で標準搭載のカメラアプリの撮影を制限した上で、専用のカメラアプリのみで画像撮影を許可する。撮影画像については、端末内部に閲覧可能な形でデータを残さず、専用の管理サーバにデータをアップロードして管理する。このソリューションはトヨタ自動車九州の業務で本格活用すると共に、今後グローバル企業に向け業務用ソリューションとして市販を検討する(関連記事:トヨタ自動車九州と九州工大発ベンチャーTRIARTがiPhone向けセキュアカメラソリューションを開発)。
ソフトバンクモバイルは、LTEの次世代の通信技術であるLTE-Advancedに向けた基地局間の干渉を抑制する新技術の実証実験を開始する。「ネットワーク連携三次元空間セル構成」の実証システムで、2014年2月5日に実験試験局免許を取得、東京・お台場エリアで2015年3月31日にかけて実証実験を実施する。ビルのフロアなどに極小セルを配置したような三次元空間セル構成によるオーバーレイセルで、多くの基地局からの電波干渉を防ぐため各基地局間で「ネットワーク連携干渉制御」を実現する技術を開発し、実証実験を行う(関連記事:ソフトバンク、基地局間の干渉を抑えるLTE-Advanced向けの新技術の実証実験をお台場で開始)。
===
決済に関連する動向を2つ紹介する。1つは、auIDに決済(カード)機能を追加するKDDIの「au WALLET 構想」。KDDIでは2014年5月のサービス提供を目指す。いままでネットの世界を認証IDだったauIDを、リアル世界でも通用する認証決済のIDにすることで、auの顧客基盤を活かした新たなO2O事業に進出する。2016年度流通規模1兆円を目指す。具体的には、au IDと連携したポイントもたまるプリペイド方式の電子マネーカードを発行する。利用可能店舗を増やすために、電子マネーの残高管理と決済システムは、グループ企業のWebMoneyとクレディセゾンの協業で実現したMasterCardプリペイド決済システムを利用する。サービス開始当初から全世界で約3600万件店のMasterCardの加盟店で使えるカードとなる(関連記事:KDDI、au IDにリアル店舗での決済機能を追加した電子マネー「au WALLET 構想」を発表)。
もう1つは、ネットマイルが運営するインターネット上の共通ポイントプログラム「ネットマイル」とNTTドコモが運営する電子マネー「ドコモ口座」の連携。「ネットマイル」は、インターネット上でゲームやアンケートへの参加やショッピングなどを行うことでポイントを貯められる共通ポイントプログラム。累計登録会員数は約462万人(2014年1月)という。貯めたポイントは現金や航空マイレージなど、200種類以上の特典への交換が可能で、交換先に「ドコモ口座」が加わり、携帯電話料金の決済などにポイントを活用できるようになる(関連記事:「ネットマイル」から「ドコモ口座」にポイント交換が可能に)。
===
このほかの1週間のトピックを紹介する。ヤフーとソフトバンクモバイルは、子どもを有害サイトから守るためのフィルタリングアプリケーション「Yahoo!あんしんねっと for SoftBank」に、子どものインターネットリテラシーを判定する新機能「ネットあんぜん検定」をついした。「ネットあんぜん検定」は、総務省が提供する青少年のインターネットリテラシー指標を表したILAS(Internet Literacy Assessment indicator for Students)に準じて、安心ネットづくり促進協議会で作成した全21問の検定問題を使用する。回答内容に応じて判定結果と対策が示される。子どもが知識を深めるほか、保護者が子どものインターネットリテラシーを高めめたい場合にも役立てられる(報道発表資料:有害サイトから子どもを守るフィルタリングアプリケーション「Yahoo!あんしんねっと for SoftBank」への、インターネットリテラシー判定機能「ネットあんぜん検定」の追加について)。
NTTドコモは、下り最大150Mbpsの高速データ通信に対応したUSBデータカード「L-03F」を開発し、5月下旬に発売する。L-03Fは、下り最大150Mbps、上り最大50MbpsのLTEによる高速データ通信が可能なUSBデータカード。2GHz/800MHz/1.5GHz/1.7GHzの4つの周波数帯でLTEを利用できる「クワッドバンド」のXiに対応する。2GHz帯と800MHz帯で広いエリアを確保し、下り最大112.5Mbpsの1.5GHz帯、下り最大150Mbpsの1.7GHz帯で快適性を高める(関連記事:ドコモ、最大150Mbpsでクワッドバンド対応のUSBデータカードを5月発売)。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルは、山陽新幹線の広島駅〜新岩国駅間のトンネル内で、2014年2月28日の始発列車から携帯電話サービスを開始する。サービスを開始するのは、広島〜新岩国駅間および新岩国駅〜第2玖珂トンネル間の計14トンネル。山陽新幹線では、これにより新大阪から新岩国駅のトンネルで携帯電話サービスが利用できるようになる(報道発表資料:山陽新幹線 広島駅〜新岩国駅間トンネル内における携帯電話のサービスエリア拡大について)。
世界へ目を向けても、モバイルトラフィックは急増していくという調査結果も公表された。シスコシステムズの調査で、2013年から2018年の5年間でモバイルトラフィックは11倍に増加すると予測し、2018年には年間190エクサバイトに達するとしている。さらにシスコシステムズでは、2013年から2018年の世界のモバイルトラフィックの増加量は、固定トラフィックの増加量の3倍に達すると予測する(関連記事:シスコ、2013年〜2018年にモバイルトラフィックが11倍増と予測)。
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちら日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。