モバイルネットワークの概念を変える無線通信技術「pCell」- S・パールマンがデモ
2014.02.20
Updated by WirelessWire News編集部 on February 20, 2014, 21:18 pm JST
2014.02.20
Updated by WirelessWire News編集部 on February 20, 2014, 21:18 pm JST
数々の実績をもつ起業家スティーブ・パールマン(Steve Perlman)氏の新会社アルテミス・ネットワークス(Artemis Networks)が、「pCell」という新たな無線通信技術を発表した。トラフィック増加に伴うネットワークの混雑や速度低下を解消できる可能性があるとして、多くの媒体で採り上げられている。
このビデオは現地時間19日にニューヨーク市で行われる一般向けデモンストレーションに先駆けてウェブで公開されたもの。10MHzの周波数帯を使ったLTE接続で2本の4K動画と4本のフルHD(1080p)動画を同時にストリーミング再生する様子や、5MHzの周波数帯を使いながら8台のiPhoneで異なるHD動画をストリーミング再生する様子などが撮されている。
従来の携帯通信網では、ひとつの基地局を複数の通信端末で共有しながら電波を送受信しており、そのために同じセルを共有する端末の数が増えるほど通信速度が低下することが避けられないとされている。それに対し、個々の端末の周囲に専用のセルを作り出すpCell(名前の由来は「personal cell」)では、独自のpWaveアンテナとクラウド上のデータセンター(にあるサーバー群)を利用することで、基地局を共有する端末の数が増えても変わらぬ速度での通信が可能になるという。CNETでは、pWaveアンテナひとつにつき最高で70Mbpsのデータ受信(デュアルアンテナのiPhoneを利用した場合)が可能としている。
pCellの技術はパールマン氏が、2011年6月に発表していた「DIDO」(Distributed-Input-Distributed-Output)技術のコンセプトに基づいたもの。LTEや3Gなどと併用でき、またpWaveアンテナでは相互の電波干渉が問題とならないため、既存の基地局やスモールセルなどと比べて設置の自由度が高いといったメリットもあるという。
パールマン氏は、アップルで「QuickTime」の開発に携わった後、家庭用テレビを利用したインターネット端末「WebTV」を開発。同システムをマイクロソフト(Microsoft)に売却した後には、オン・デマンド式のゲームサービスである「OnLive」を開発したことでも知られる人物。
アルテミスではすでに複数の大手携帯通信事業者やインターネットサービスプロバイダーなどと同技術の導入に向けた交渉を進めているという。
【参照情報】
・5G Service On Your 4G Phone? - IEEE Spectrum
・Is pCell the Holy Grail of wireless networking? - CNET
・The man behind OnLive has a plan to fix your terrible cellphone service - The Verge
・Steve Perlman Thinks He Can Completely Change How Cell Phone Service Is Delivered - Re/code
・Has OnLive's Steve Perlman Discovered Holy Grail of Wireless? - Wired
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