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「ヨー」こそすべて

2014.06.20

Updated by Kenji Nobukuni on June 20, 2014, 11:00 am JST

Yo. on the App Store on iTunes
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Life Before Us社のメッセージング用アプリは「Yo.」という短い名前だが、機能もシンプル。コンタクト先に送るメッセージは、「Yo」だけ。文字と声を送ることができる。と言うよりも、ほかに何も送ることができない。

この無料アプリ(iOS、Android)を開発したOr Arbel氏は、写真とビデオ共有サービスの会社でiOSのデザイナーをしていた時、社長からある依頼を受けた。アメリカ映画やテレビドラマで見かける光景だが、社長はインターホンのボタンを押して、社長室の外にいる秘書を呼びつける。これが面倒になった社長はArbel氏に大きなボタン1つのアプリで、タップしたら秘書に通知が届くものを作れるか質問したのだ。Arbel氏は2時間で作れるが、そんなバカげたものは作らないと答えたそうだ。実際には開発には8時間かかったし、Arbel氏はこのアプリの可能性に気づいて、会社を辞め、サンフランシスコに移住して起業し、Yo.をブラッシュアップして事業を始めた。「Yo.」の声はArbel氏の声だそうだ。

相手に「Yo.」だけ伝えるというはフェイスブックの「Poke」のように、ただちょっとした挨拶、ちょっかいなのだろうが、4月のリリース以来、この単純な機能が受けてダウンロード数が数万件になり、投資家からの資金が100万ドルに上って記事になった。そのことがさらにツイッターなどで注目を集めることになり、6万だったユーザー数が記事掲載後24時間で20万まで増えたという。

なぜ、「Hey」でも何でもなく、「Yo」なのかというと、「Hey」は意味が限定されるが、「Yo」には(日本語の「どうも」並みに?)拡がりがあるからだとのこと。遠くの友達に挨拶するだけでなく、仕事上のコンタクトにも「Yo」なら送れるそうなのだ。

とにかく、アプリは好評だし、資金も得て注目を集めた。ワールドカップ期間中は、社員が試合を見ながら、ゴールが入るたびに登録したユーザに「Yo」を送っている。どのチームの得点かは伝わらないが、とにかく点が入ったことが分かるのだ。このほかにも記事が更新されたこととか、何かのステータスが変わったことをスマートフォンのプッシュ機能のように通知する応用例を増やしてビジネス展開して行こうと考えているようだ。

【参照情報】
Yoのウェブサイト
Yo: the new app that takes simple to the extreme
Messaging App Gets People Talking With One Word: Yo
Yo Now Has Over 200,000 Users -- 140,000 More Than It Had Yesterday

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来