アマゾン（Amazon）が、ゲーム動画ストリーミング配信サービスを提供するトゥウィッチ（Twitch）を約9億7000万ドルの現金で買収することになったと、米国時間25日に複数の媒体が報じた。トゥウィッチについては、グーグル（Google）が同社を推定10億ドルで買収するとの話が先月報じられていた。

トゥウィッチに関しては、以前からグーグルによる買収の話が進んでいると伝えられていたが、WSJの情報筋によれば、両社の協議はここ数週間は下火になっていたという。また、トゥウィッチ買収にはヤフー（Yahoo）も関心を示していたという。

アマゾンは近年、自社でゲームを制作するアマゾン・ゲーム・スタジオ（Amazon Game Studios）を設立しており、セットトップボックスの「Fire TV」向けに新作ゲームを投入したり、専用コントローラーを販売するなど、ゲーム分野での取り組みに力を入れてきている。このため、同社がゲーム市場での展開をさらに進めていく上でトゥウィッチの買収が役に立つとの見方も出ているようだ。

トゥウィッチにとっては、アマゾンへの事業売却で、「Amazon Web Services」（AWS）活用によるサービスのスケール拡大を容易に進めることが可能になるといったメリットが考えられる。またThe Vergeは関係者の話として、トゥウィッチがアマゾンを選んだのは、アマゾンが買収後も同社の自治を尊重し、ゲームや動画の分野で重要な役割を与えると考えたからなどとしている。この関係者は、グーグルに買収された場合には、YouTubeとの兼ね合いから、トゥウィッチが格下に位置付けられる可能性があったと説明している。

アマゾンとグーグルとは、最近になってとくに同じ市場で競合する場面が増えている。パブリッククラウド分野では両社の大幅な価格切り下げ競争が大きな話題となっていたほか、ショッピング（製品リスティング）や即日配送分野などでも互いに牽制し合っており、先週末にはアマゾンがグーグルの中核事業であるオンライン広告市場に本格参入する準備を進めているとの話も報じられていた。

[Twitch: Are Video Games the Key to TV's Future? - Bloomberg TV]

【参照情報】
・Amazon to Buy Video Site Twitch for $970 Million - WSJ
・Amazon, not Google, is buying Twitch for $970 million - The Verge
・Why it makes sense for Amazon to buy Twitch - The Verge