賢いM2Mをキャリアに提案するEvolving Systems
2011.02.17
Updated by WirelessWire News編集部 on February 17, 2011, 14:40 pm JST
2011.02.17
Updated by WirelessWire News編集部 on February 17, 2011, 14:40 pm JST
Evolving Systems社は1985年設立で日本には進出していないようだが、40カ国、70事業者に対してネットワーク・オペレーション用のソフトウェアやサービスを提供している。今回、MWCに合わせて発表したのは「インテリジェントM2Mコントローラ(Intelligent M2M Controler)」というM2M用のシステム。今後、モバイルオペレータへの売り込みを行うという。
▼Evolving Systemsは展示ブースを持たず商談スペースのみ
M2Mで監視、管理される側のマシンは照明設備、発電機、給水塔、エレベータなど多岐に及び、その数も膨大で、人間が使う携帯電話よりも桁違いに多くなると予想されている。モバイルキャリアが提供している接続サービスにこれらを収容するとなると、無駄が多い。
極端な例として、自動車のエアバッグが膨らんだことをもって交通事故と判断し、通報するシステムをM2Mで作ったとすると、この車載のマシン(M)が情報を送ることは滅多にない(一度きりかも知れない)。しかし、このMに電話番号やIDを付与して無線網に収容し、アクティベートしてから作動するまでの期間、ずっと加入端末として位置を確認し続けるのは無駄となる。
つまり携帯端末は定期的に位置情報をネットワークに登録される必要があるため、電波を発することになるが、情報を送る頻度が低い場合には、送らなくてよい情報を送っていることになる。例えば、街灯を監視される側のMとした場合、日が暮れて点灯した時と、夜が明けて消した時だけ情報を送ればいいのにも関わらず、しかも、位置は動かないにも関わらず、無駄に情報を送信することになる。
監視、管理する側(センター側)のM1が、監視、管理される側(遠隔側)のM2から情報を得るには、M1からM2に情報を送るよう指示するポーリング方式や、M2から自発的にM1へ送るよう設定する方式などがあるが、「インテリジェントM2Mコントローラ」は、「肩叩き方式(shoulder-tap)」と彼らが呼ぶ新たな方式で情報を得る。
つまり、定常状態では監視されるM2のSIMカードは"眠って"いて、センター(M1)側が情報を得たい場合には、SMS(ショートメッセージ)を送り、"寝ている"SIMを"起こして"情報を送らせ、用が済んだらまた"寝かせて"しまうそうなのだ。
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Evolving Systems社が「インテリジェントM2Mコントローラ」の対象と考えているのは、頻繁に情報を送らない機器("infrequent transmitter")。監視カメラのように常時情報を送るシステムには不向きだ。通常、たまにしか情報を送らない機器は安価で、電力消費も少ない。遠隔管理する場合にも月額の料金次第では保守者(人間)が巡回するよりも高くなってしまう。M2M市場は急成長が見込まれているが、余り送信情報量の多くないマシンの監視、管理はビジネスプランが成り立たないケースも多い。
そうした状況にあるモバイルキャリアに対して、「インテリジェントM2Mコントローラ」は送信情報量や頻度の少ない機器を大量に扱う"インテリジェンス"を提供する製品なのだそうだ。Evolving Systems社は、これ以前にも「ダイナミックSIMアロケーション」と呼ばれるプリペイドSIMカードをアクティベートする仕掛けやナンバー・ポータビリティのバックエンドのシステムを提供してきた経験を持っている。「インテリジェントM2Mコントローラ」は、それらの応用編ということのようだ。
▼ダイナミックSIMアロケーション用のプリペイドSIMカード
AmazonのKindleをモバイルキャリア側から見ると、販売促進はAmazonがやってくれるし、端末のアクティベートはエンドユーザがやってくれて、テクニカルサポートもAmazonがやってくれるため、Amazonの通信料金は安いが通信会社の売上のマージンは高い。
携帯電話であれば、競合の顧客を奪い取り、新たに若者を惹きつけるための広告宣伝費が高く、販売拠点での事務手続きが多く、テクニカルサポートの提供には莫大な費用がかかる。それに比べれば、たまにしか情報を送らないKindleを多数収容しておくことはモバイルキャリアにとっては大変うま味のある事業なのだそうだ。
Evolving Systemsがモバイルキャリアに提案しようとしているのは、このモデルに近い。情報転送量と頻度が低いマシンの監視や管理といった用途には、キャリアに特別な安い料金を設定してもらい、M2Mの普及を加速させるのが狙いだという。
▼CEO兼会長兼プレジデントのThad Dupper氏(左)とワールドワイド・セールス&マーケティング担当VPのJames King氏(右)
日本のモバイルキャリアに接触する計画は今のところないとのことだが、欧州の消費者家電大手とは商談が進んでいるようだった。
Evolving Systems, Inc.
http://www.evolving.com
所在地:本社 アメリカ コロラド州 Englewood(9777 Pyramid Court, Englewood, CO 80112, USA)
拠点:イギリス、ドイツ、インド、マレーシア
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【報道発表資料】
・14 Feb 2011 - Evolving Systems Launches Intelligent M2M Controller Solution
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