[Xi Watching Report #2]決算説明会で明らかになった、Xiの加入者計画と想定される端末販売台数について考える
2011.03.01
Updated by WirelessWire News編集部 on March 1, 2011, 16:30 pm JST
2011.03.01
Updated by WirelessWire News編集部 on March 1, 2011, 16:30 pm JST
前回は「LTEが周辺産業にもたらす影響を考える」と題し、NTTドコモによるLTE(Xi)導入による周辺産業への影響を考察、基本観としてW-CDMA導入時の様な周辺産業への影響は、設備投資額などから鑑みてもあまり期待できないということを論じた。
「Xi Watching Report」と題された連載である為、NTTドコモのLTEサービスであるXiの動向について継続的に論じていくことを基本とするが、前回1月末の寄稿からのXi自体に大きな変化は無く、12月末契約数1,200件から、1月末時点で3,700件となり、1月のXiの純増は2,500件だったようだ。
1月28日に発表されたNTTドコモの第3四半期(2010年10月〜12月)決算説明会資料 [PDF]によると、第3四半期におけるデータ系プラン加入者の純増数は13万件とのこと。3ヶ月で13万件であるので、単純に月平均にすれば4万3,000件/月の純増数ということになるが、これと比較すると心許ない数字と言わざるを得ない。
3月7日に公表される2月の純増数が気になるところだが、NTTドコモから既に公表されている通り、2010年度末で50,000件という数字についての進捗状況を引き続き確認しつつ、衆目の知るとおり、3月は当該業界においては大商戦期であるため、ここでの契約獲得を前提とした計画であると推察される。契約数以外での前回寄稿時との変化で言えば、中長期的なXiの加入者計画が2010年度:5万件、2011年度100万件、12年度:未公表、13年度:未公表、14年度1,500万件という計画しか提示されていなかったが、これも1月28日に行われた決算発表会において、具体的な数字の公表は控えられたものの、図1のような概ねのイメージが提供された。
▼図1:Xiの契約数イメージ
この図で見ると、2012年度:500万件、2013年度:1,000万件程度ということであろう。前回寄稿時に触れたとおり、FOMAがサービス開始の3年後にあたる2003年度に304.5万件、4年後にあたる2004年度で1,150.1万件であったのだが、これと対比すると、サービス開始後3年までの計画はかなりアグレッシブなものと一見見える。
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FOMA立上げ時との大きな違いは、FOMAとmova(PDC)ではエリアのオーバーレイがなされておらず、端末に関しても、一部デュアルネットワーク機が出されたものの、PDC・FOMAそれぞれが完全に独立したネットワークとして提供されていたのに対し、XiはFOMAエリアとのオーバーレイが基本で、Xi圏外時においては、FOMAサービスを利用することが出来るよう考慮されている点だ。
▼表1:Xi契約数、純増契約数、想定される対応端末数(単位:万件)
この点を加味すれば、2011年度の契約数100万件(つまり、純増数は95万件)という数字は、ドコモの年間の端末販売台数1,800万台程度のうち、約5%程度がXi対応になるということであろう。同様の計算で、2012年度末契約数500万件(純増は400万件)と仮定し、2年後から機種変も発生してくることを考慮に入れ機種変率2%と仮定すると、12年度は販売する端末のうち約29%がXi対応機、13年度は41%、14年度で48%となり、5年を経てようやく販売する端末の50%程度がXi対応になるということになろう。これら、決算説明会で明らかになった情報を元に考察してみると、一見アグレッシブに見える計画も、実はかなり慎重に作られて、控え目に公表されているものと推察する。
次回は、引き続きXiの動向を考察しつつ、KDDI、ソフトバンクなど、NTTドコモ以外の事業者のLTE戦略についても考察したい。
文・梶本浩平(リサーチアナリスト)
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