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通信の未来を変える技術を紹介するNTT R&Dフォーラム

2012.02.21

Updated by Asako Itagaki on February 21, 2012, 14:30 pm JST

2月16日・17日の2日間、NTTグループの研究開発部門の成果を一堂にあつめて展示する「NTT R&D フォーラム 2012」がNTT武蔵野研究開発センターで開催された。「創るICT」「支えるICT」「進化するICT」の3つをテーマに展示ゾーンが切り分けられ、基礎研究から応用技術までさまざまな研究開発成果が紹介されていた。展示の中から、「未来の通信体験の形」を変える技術という観点で、興味深いものをいくつか紹介する。

パソコンにインストールして使用できるHDTV電話「Vitis」

帯域保証型ひかり電話サービスを利用して、0AB〜J番号で接続できる、低遅延高画質テレビ電話。一対一での通話の他、サーバーを利用して多地点間の会議にも使用できる。

▼隣あわせに置いた2台のクライアント間で通話中。左下には自映像のモニタが映っている。
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スマートフォンを多地点間接続のサーバーとして動作するソリューション

専用アプリケーションをインストールしたスマートフォンをひかり電話にLAN接続して、高音質なVoIP通話を使用できる。また、アプリをインストールしたスマートフォンを最大4地点の多地点通話用サーバーとして使用できる。

コーデックにはG711.1を使用しており、7kHzの帯域で音声を使用可能。相手が従来の電話機(音声帯域が3.4kHzの場合)は、擬似的に広帯域化して高音質で通話が可能になる。デモンストレーションでは音質の違いがはっきりわかった。

▼「音声切替」ボタンのタップで、通常の音声と疑似高音質の音声を切替えられる。
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ブログ・Twitterをテキスト解析して「ここでの話題」をマッピング

NTTサイバーソリューション研究所が出展していたAndroidアプリケーション「発見探地図エリアダス」は、公開されているブログのテキストを収集し、地名とキーワードを関連づけて地図上にマッピングしたサーチエンジン。「どこで何が」話題になっているかが分かる。使用するデータの期間を区切ることで、「最近話題のキーワード」などを探すことも可能。

▼地図上に、その地名と関連あるキーワードがタグとして表示される。キーワードをクリックすると、その場所とキーワードに関連性の強いブログが検索結果として表示される。
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また、参考出展されていた「アクトランク(仮称)」は、さらにTwitterのテキスト解析も加えて、「時間」まで考慮して検索結果を表示する。例えば「上野 12:00」で検索すれば上野近辺のランチのおすすめ、「上野 15:00」で検索すれば上野近辺の観光スポット情報が上位に表示される。

▼「アクトランク(仮称)」の意味は、その時、その場所のおすすめをランキングで表示する、という意味だそう。
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ぐっと小型化された衛星基地局

東日本大震災の被災地で、被災者のライフラインの一つとして活躍した移動基地局。パラボラを積んだ車両が配置されていたが、機動性を重視した小型衛星基地局が開発された。GPSと衛星自動追尾システムを搭載したことにより、従来は設営に1時間程度かかっていたのが、10分程度に短縮できる。また、自動追尾装置により、余震で少し向きがずれても、自動調整が可能だ。

▼1つのパラボラで10回線の音声通話が収容可能。屋外基地局に接続する場合など、回線数がもっと必要な場合は、複数並べて対応する。
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LTE-Advancedを想定したHetNetシミュレーター

LTE-Advancedの仕様に準拠したHetNetの干渉制御技術の効果をリアルタイムでシミュレーションする。特にセル境界線部分のスループットの改善が可視化される。

▼マクロセルのエリア境界にピコセルを置くだけでなく、干渉制御を行うことで平均スループットが25Mbpsから90Mbpsに向上した。
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キャリアアグリゲーションに欠かせない複数帯域同時通過フィルタ

複数の周波数帯をまとめて広帯域の通信を実現するためのRFフィルタのプロトタイプが展示されていた。従来のものと異なり、中心周波数と帯域幅を独立に設定できる。実用化にはさらに小型化が課題となる。

▼現在は幅20mm〜35mmだが、製品化のためには1mm角程度まで小型化する必要がある。
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人間の「反射」を利用して、もたつき感をなくす技術

通信の遅延によるタッチ入力のもたつき感を軽減するために、指の動きに追随した「流れる模様」を表示する。自分の手の動きに沿う動きを認識したとき、動きが加速する反射を利用して、実際には「脳で認識している」以上の速さで指を動かすことで、もたつき感を感じさせなくする。

▼実際にやってみると、同じように動かしているはずなのにおどろくほどスムーズになるのだが、「錯覚ではなく実際に無意識で速く動かしている」のがおもしろい。
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記事中で紹介しきれなかった展示や写真についても、WirelessWire News Facebookページアルバム「NTT R&Dフォーラム2012」で紹介しているので、そちらもぜひご覧いただきたい。

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。