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ソフトバンクの反撃 -続・auとソフトバンクのiPhone 5の支払金額を比較する(追記あり)

2012.09.20

Updated by Asako Itagaki on September 20, 2012, 09:44 am JST

9月19日、ソフトバンクモバイル(以下SBM)の孫正義社長は記者会見を開催し、9月21日からサービスを開始するSoftBank 4G LTEの新しい料金施策を発表した。それぞれの施策の概要についてはこちらを参照していただきたいが、ここではauのiPhone 5との支払金額の比較に焦点を当てて見ていきたい。

auに並んだ「テザリング・通話定額・固定回線セット割引」

9月14日の時点で「auにあってSBMになかった」テザリング・24時間通話定額・ 固定回線セット割引について、auと同じ価格で提供される(ただしテザリングと24時間通話定額については2013年1月15日からの提供)。孫社長自ら会見の中で認めたとおり、ユーザーの声に押された形だ。

なおテザリングを選択した時のパケットプランは、7GB以上に速度制限がかかる「パケットし放題フラット for 4G LTE」となるが、2012年12月末まではキャンペーン価格の5,460円(4G LTE 定額と同額)で契約できる。また、テザリング料金として設定されている525円も無料。つまり、SBMのiPhone 5ユーザーは、2012年12月末までは同じ価格で「7GB制限ありのテザリングあり」か、「上限無しのテザリング無し」のどちらかを選択できるようになる。この点はauにはないメリットだ。

なお、これらの施策については、iPhone 5向けということではなく、LTE対応のスマートフォン全てを対象とする方向で検討中とのことである。詳しくは該当する機種が発売される時に発表するとのこと。

下取り価格見直しと対象機種の拡大

sbm-buying.jpgauにはなくてSBMにはあった「下取りプログラム」は、下取り価格と対象機種が大幅に見直された。対象機種はSBMで販売したグローバル対応機種のスマートフォン。具体的な機種と下取り価格は表の通り。月額1000円を下取り価格に応じた月数、利用料金から割り引く形となる。

下取りするスマートフォンは本人が契約していたものには限らず、家族や友人から譲りうけたものでも対応するとのこと。したがって、機種変更だけでなく、新規契約やMNPの場合も、下取りプログラムの利用は可能となる。

また、端末を下取りに出した時点で割賦が残っている場合はそのまま継続して支払うことになる。下取り端末の月々割は、下取に出した時点でなくなるので、機種代金の支払が完了していない端末を下取りに出す場合は注意が必要。

「4G/LTEスマホ家族キャンペーン」は新規契約が必要

iPhone 4/4Sを利用しているユーザーが、下取りプログラムを利用せず、古いiPhone 4/4Sを家族が使うための端末として使用するために新規契約(USIM カード単体での契約/ホワイトプランもしくはタイプXにねん契約必須)した場合は、新規回線の「パケットし放題フラット」が2年間、4,410円から1,980円になり、月額料金が3,275円で利用できる。また、月々割が残っていた場合は、新規回線に引き継がれる。

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かいかえ割・下取りでさらに機種変更ユーザーに手厚くなったSBM

SBMの新施策に対応して、あらためて月額支払料金と2年間支払総額を比較しなおした。

iPhone 5 月額料金(au)

201209152100-2.jpg※2012年11月末日までに申込みの場合(料金の詳細についてはこちらを参照)

iPhone 5 月額料金(au)(スマートバリュー適用あり)

201209152100-6.jpg※2012年11月末日までに申込みの場合(料金の詳細についてはこちらを参照)

iPhone 5 月額料金(SBM)

sbm-new-m.jpg※2012年11月末日までに申込みの場合(料金の詳細についてはこちらこちらを参照)
※iPhoneかいかえ割の割引は12ヵ月間のみ
※下取りプログラムの割引期間は下取り機種によって異なる。詳細はこちら

iPhone 5 月額料金(SBM)(4G/LTEスマホBB割適用あり)

sbm-new-m-bb.jpg※2012年11月末日までに申込みの場合(料金の詳細についてはこちらこちらを参照)
※iPhoneかいかえ割の割引は12ヵ月間のみ
※下取りプログラムの割引期間は下取り機種によって異なる。詳細はこちら

2年間支払総額の比較

201209152100-4.jpg

201209152100-7.jpg※2012年11月末日までに申込みの場合(料金の詳細についてはこちらを参照)

SBMの下取りプログラムについては機種によって2年間支払総額が異なるため、例として「機種変更・iPhone 4S 16GBの場合」のみを算出している。

sbm-new-2y.jpg

sbm-new-2y-bb.jpg※2012年11月末日までに申込みの場合(料金の詳細についてはこちらこちらを参照)
※iPhoneかいかえ割の割引は12ヵ月間のみ
※下取りプログラムの割引期間は下取り機種によって異なる。詳細はこちら

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SBM・下取ありの場合の2年間支払総早見表(機種変更時)

※新規もしくはMNPで下取りプログラムを利用する場合の2年間支払総額は、前ページ掲載の2年間支払総額から、機種ごとの買い取り価格を減じたものとなる。

sbm-new-4s.jpg

sbm-new-4s-bb.jpg

両社のiPhoneの既存ユーザーから見ると、auはiPhone 5になってもパケット料金は変わらないのに対し、SBMは元々パケット料金が月額4,410円と安かったため、1,000円以上高くなる。9月14日の時点の発表では、LTEのエリアがどこまで広がっているのかがはっきりしない現状でかつテザリングオプションもなかったため、従来と同様のパケット通信サービスしか使えない可能性があるにもかかわらず従来よりも高い料金プランしか選べないことに対して、SBMユーザーの不満の声が出ていた。

会見で孫社長は、LTEのエリアについては、2.1GHz帯ではauよりも多い基地局数を展開しており2013年3月時点では実人口カバー率91%になるので、多くのユーザーが高速なサービスを利用できると説明。「今回はソフトバンクが守りに入ったとも言われたが、決してそうではない」と強調していたが、この料金を見ている限り、積極的に攻めにいったというよりは、ユーザーの不満に答えることで、さらに強く引き留めをはかったという印象が強いと感じた。とはいえ、支払料金が下がることと、選択肢が増えることはユーザーから見ればうれしい変更であり、また4G/LTE スマホBB割の適用で自宅の固定回線の環境によってはSBMを選択する積極的な理由になる。

「今後この料金に対応して他社が何らかの施策をうってきた場合、さらに対応する可能性はあるのか」という質問に対して、孫社長は「なんでもありのソフトバンクです」と回答していた。今後まだ何か波乱があるのか、それともこれで11月までのキャンペーンについては両社とも確定なのか。できれば早く確定していただき「安心して買いたい」というのがユーザーの本音ではないだろうか。

※9/20 14:00 【修正】 公開当初、1ページの「SBM・下取りプログラム対象機種別下取り価格表」と、3ページの「SBM・下取りありの場合の2年間支払総早見表(機種変更時)」の表側の表記のうち、「iPhone 4」を誤って「iPhone 4S」と表記しておりましたので、正しいものに差し替えました。読者の皆様にはご迷惑をおかけいたしましたことをお詫びいたします。なお、現在も正しい表が表示されない場合は、ブラウザのキャッシュをクリアして再読み込みをお願いします。

※9/21 13:30【追記】 SBMのiPhone 5の利用契約でテザリングオプションを選択した場合、2013年1月15日以降パケットプランが自動的に「パケットし放題フラット for 4G LTE」に切り替わるが、その際も「iPhoneかいかえ割」「新iPhoneかえトクキャンペーン」の適用は継続されるとのこと。9月20日夜の時点では、同社ウェブサイト上で案内されている両キャンペーンの適用条件に「パケットし放題フラット for 4G LTE」が含まれておらず、同社カスタマーサービスのTwitterアカウント(@SBcare)が、寄せられた質問に対して「テザリングオプションサービス開始時点でパケットプランが変更になるため、かいかえ割・かえトクキャンペーンの適用外となる」と回答したため混乱が生じていたが、9月21日昼の時点で広報室から「ウェブサイトの更新がおいついていなかったが、両キャンペーンについてはパケットプランが自動切り替えとなっても継続して適用される」との回答を得た。また、カスタマーサービスも、以下の通り訂正をアナウンスしている。

【参照情報】
4G/LTE 対応スマートフォン向けの新たな施策について(ソフトバンクモバイル 報道発表資料)
auとソフトバンクのiPhone 5の支払金額を比較する(追記あり) - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。