[先週の動き]iPhoneは予約開始で一騒動、新型黒船の来襲に国内勢は連合軍結成へ
2010.06.21
Updated by WirelessWire News編集部 on June 21, 2010, 10:10 am JST
2010.06.21
Updated by WirelessWire News編集部 on June 21, 2010, 10:10 am JST
世の中はサッカーのFIFAワールドカップ2010開催に沸いているが、ワイヤレスの世界ではiPhone 4の予約開始に盛り上がった1週間だった。
日本代表がカメルーンを下したのは日本時間の15日未明。その15日は、iPhone 4の予約が日米などで始まった日でもあった。国内ではソフトバンクモバイルとアップルが新端末の価格や料金をアナウンス、15日17時の予約受付に備えた(関連記事:iPhone 4は16GBで4万6080円、15日の17時から予約受付開始)。
前後して、調査会社がスマートフォンの購入意向調査の結果を発表している。MMD研究所はケータイおよびWebサイトでアンケート調査を実施し、スマートフォンの購入意向が高まっている実態を示した(関連記事:スマートフォン購入検討者の6割強がiPhone 4を検討--MMD研究所調査)。スマートフォンの購入意向を持つ人は回答者の36%を超え、スマートフォンが一部のコアな層のものから一般に広まってきていることが明らかになった。購入意向を示した回答者に検討している機種を聞いたところ、6割を超える回答がiPhone 4に集中した。iPhone 4が発表になったタイミングでの調査という点を割り引いても、国内では「スマートフォン=iPhone」という公式が成り立っていて、その最新機種に多く注目されていることが分かる。
その注目ぶりは、内外で混乱を引き起こした。米国ではiPhoneの予約を受け付けるAT&Tのオンライン受付窓口が、予想を超える人気に処理不能に陥った(関連記事:AT&Tがまたも失態 - iPhone 4予約殺到でシステムダウン、再度の個人情報漏洩も)。国内でも、ソフトバンクモバイルの店舗で操作する予約システムのレスポンスが悪化したという報道があった(参考記事:ITpro「iPhone 4の予約システムがつながりにくい状況に )。さらに、ソフトバンクモバイルは6月18日、iPhone 4の予約受付について「予測をはるかに超える、ソフトバンクとして過去最大となる数のご予約」があったことから、18日をもって受付をいったん終了すると発表した(報道発表資料:iPhone 4予約販売について)。
iPhoneは、iPhone 4が国内で3世代目の発売になるが、初代の発売時から大行列で話題になった。一般に注目されるように話題を作り上げている企業に踊らされている側面もあるとはいえ、常に目を引く存在であることは間違いないようだ。
iPhone 4一辺倒になりそうなこの週だったが、国内メーカーも大ニュースを提供した。携帯電話製造の大手である富士通と東芝が、事業を統合するというもの。国内ではシャープに次いでシェア2位の企業が誕生する(関連記事:富士通と東芝、携帯電話事業を統合しスマートフォンに注力)。縮小する国内の携帯電話の市場では、すでに多くのメーカーが携帯電話事業から撤退し、残る企業は事業統合によるスケールメリットの確保により活路を見出そうとしている。
富士通と東芝の発表によれば、東芝が培ってきたスマートフォンの技術を1つの軸として、スマートフォン分野での展開を模索する模様だ。iPhoneの人気や、Android端末の攻勢を受けながら生き残る方策としては、同じスマートフォンの土俵でも戦えるようにする必要があるというわけだ。国内だけでなく、海外市場も視野に入れているという報道もある。
渦中の東芝が製造する新しいスマートフォンの発売アナウンスもあった。KDDIの個人向けスマートフォン「IS02」を6月24日に発売するというもの(参考記事:au初の個人向けスマートフォン「IS02」、iPhone 4と同じ6月24日に発売)。大人気のiPhone 4の発売と同日にぶつけてきたことになる。IS02はマイクロソフトの携帯端末用OSのWindows Mobileを搭載するスマートフォンで、QWERTY配列のキーボードも備えた力作だ。iPhoneを選べないauのユーザーに対して、満足を与えられるのかどうか、販売状況を見守っていきたい。
iPadの発売で話題になったモバイルWi-Fiルーター。その1つであるNTT東日本の「光ポータブル」が予約受付を開始したのも先週のニュースだった(関連記事:NTT東日本、「光ポータブル」の予約受付を6月17日に開始)。フレッツ光のユーザーに限定してレンタルで提供するもの。3GのSIMを挿すことでインターネットなどへの接続が可能だ。
同様にモバイルWi-Fiルーターを提供している日本通信は、3Gデータ通信を利用できるSIMを提供するサービスに継続料金のプランを追加した(関連記事:日本通信、定額ドッチーカに継続プランを提供)。「b-mobile Doccica U300」と呼ぶサービスへの対応で、継続利用時に12カ月の延長プランを利用すると、月額換算で2733円で3Gデータ通信が利用できる。
iPhoneの発売などで少し落ち着いた感のあるiPadだが、特に法人向けの話題が継続して登場している(関連記事:iPad、ビジネス利用にも浸透の兆し)。IBMやオラクルといった名だたる企業が、自社のソリューションに対してiPad向けのアプリや開発環境の提供を始めている。中古車販売のガリバーインターナショナルも、6月15日にiPadを業務で試験導入したとアナウンスしている。まだ試行錯誤の段階とはいえ、まったく新しい端末が発売直後から企業に注目されることはほとんど初めてのことで、今後の動向に目を向けたい。
サッカーでは、週末になって残念ながらオランダに負けてしまった日本。ITやワイヤレスの分野では、なんとか勝ち点を取り続ける努力を続けて欲しいところだ。
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