[先週の動き]AndroidでカーナビやiPhoneから印刷が現実に、中国発ソーシャルサービスをKDDIが提供へ
2010.09.21
Updated by WirelessWire News編集部 on September 21, 2010, 08:00 am JST
2010.09.21
Updated by WirelessWire News編集部 on September 21, 2010, 08:00 am JST
9月も半ばとなった先週は、民主党の代表選から新内閣の組閣で賑わったが、国内のワイヤレス関連動向には大きな動きは少なかった。とはいえ、今後の発展に影響を及ぼしそうなニュースはいくつか流れてきた。まずスマートフォン関連から見ていこう。
まず最初に紹介したいのが、米グーグルの日本法人が提供を開始した「Googleマップナビ」だ(関連記事:GoogleマップナビをAndroid搭載スマートフォン向けに提供開始)。Android端末で利用できるカーナビゲーションアプリで、本家のグーグルが無料で提供することになった。ルートの音声案内やGPS機能を使ったルート再検索、ルート沿いの店舗検索などが可能だ。
目的地の名称や住所をしゃべるだけで検索できる「音声検索」や、ドライブ中の経路にある店舗などを検索できる「ルート沿い検索」などの利便性の高い検索機能を搭載。また、航空写真やストリートビューといったGoogleマップでおなじみの表示方法も選べる。高機能な無料のカーナビアプリの登場で、Android端末の利便性のポイントが一つ高まったことになる。
一方のiPhoneは、印刷機能「AirPrint」の提供を発表した(関連記事:iPhoneやiPadから無線で印刷できる「AirPrint」、アップルが11月に提供)。iPhone、iPad、iPod touchから、無線LAN機能を利用してローカルネットワーク上のプリンターに印刷の指示を出せるというものだ。2010年11月に提供を予定しているiOS 4.2のアップデートで追加される。
当初対応するのは米ヒューレット・パッカード(HP)のePrint対応機種。iPhoneやiPadから直接印刷が可能になれば、その使い道は一段と広がる。アップルによれば、テキストや写真、画像などが印刷できるとのことであり、今後の対応プリンターの増加に期待したい。
一般の携帯電話の使い道を広げる可能性がある製品も登場した。大日本印刷が提供するFelicaリーダー/ライターのPetitPorta Plus」(プチポルタプラス)がそれだ(関連記事:DNP、ケータイにコンテンツを直接配信できるFeliCaリーダー/ライターを発売)。特徴は、PetitPorta Plusに蓄積したコンテンツを、タッチした携帯電話に直接配信できること。これまでの同種のFelicaリーダー/ライターでは、コンテンツが蓄積してあるサイトのURLを携帯電話に知らせるだけだった。
これにより、ユーザーはサイトに接続する手間をなくせるほか、従量課金ユーザーならばパケット料金の節約にもつながる。また、導入企業はこれまで、携帯電話のタッチで店舗情報やクーポンなどを配信したいと思っても、これまでは携帯電話向けのWebサイトも立ち上げなければならなった。今回の製品を使えば、Webサイトを使わずに直接コンテンツを配信できるため、コスト的にも導入期間的にもメリットが生じる。
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KDDIは、新しいソーシャルサービス「サンシャイン王国」の提供を開始すると発表した(関連記事:携帯のアドレス帳でつながるソーシャルサービス「サンシャイン王国」、KDDIとRekooが開始)。中国のソーシャルゲーム最大手であるRekoo Mediaと、同社の日本法人であるRekoo Japanと共同で提供するものだ。
このサービス、ビジュアルポータルとの位置付けで、個人のエリアである「王国」を発展させるとゲーム的な要素に加えて、王国に設けられた各種のサービスのビジュアルな看板からサービスにリンクするポータル(玄関)としての性格も持つ。サービスの特徴としては、利用者が登録したアドレス帳を人間関係図の「ソーシャルグラフ」として利用できる点が挙げられる。ソーシャルサービスに、リアルの人間関係を反映させてもらって、より発展させようとの考えだ。また、KDDIのau携帯電話だけでなく、同社のスマートフォン、NTTドコモやソフトバンクモバイルの携帯電話などでも利用できる「マルチデバイス」「クロスキャリア」も特徴の一つ。
サービスは10月14日に開始。Android端末およびパソコン向けには、2010年冬のサービス開始を目指すという。新しい位置付けのサービスが、どのようにユーザーに受け入れられるか、お手並みを拝見したい。
イー・モバイルは、新しい定額プランの提供を発表した(関連記事:イー・モバイル、プロトコル制限がある月額3680円の定額プランなどを提供)。プロトコル制限と月額上限の通信量がある代わりに、割安な月額料金で使える定額プラン「データプランB」「データプラン21B」だ。
両プランでは、メールの送受信、Webサイトの閲覧、音楽ファイルのダウンロード、ストリーミング型を除く動画閲覧などが利用できる。ストリーミング、ファイル交換、オンラインゲームなどでは利用できない制限がある。さらに、月額の上限通信料が5GBまでに制限される。料金は、プロトコル制限のない通常のプランに対して月額600〜1100円ほど割り引かれる。制限内での利用で問題のないユーザーにとっては、コストを抑えられるプランの登場と言える。
FMC(Fixed Mobile Convergence)を実現する新しい製品もお目見えした。チャットボイスが発売した、NTTひかり電話に対応FMCアダプタ「交換職(こうかんしょく)」である(関連記事:ひかり電話で「ミニマムFMC」を実現する、チャットボイスの「交換職」)。NTT東日本/西日本が契約者に提供する「ひかり電話ルーター」にLAN接続することで、ビジネスホンの「ダイヤルイン」機能を実現する「呼び分け機能」と、ダイヤルイン番号ごとの携帯電話への転送機能を実現する「追いかけ機能」を提供する。中小規模の事業所にも、容易に高機能なテレコムサービスを提供する製品として、これからの動向に注目したい。
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モバイルWi-Fiルーターにウイルスが混入していたという事件も発覚した。NTT東日本とバッファローは、モバイルWi-Fiルーター「光ポータブル」(NTT東日本)および「DWR-PG」(バッファロー)の一部に、コンピュータウイルスが混入していたことを9月10日に明らかにしていた(関連記事:NTT東の「光ポータブル」とバッファローの「DWR-PG」、一部にウイルス混入が発覚)。
製品検査の段階でウイルスが混入したとのことで、USB接続でパソコンなどにつないで利用した場合に、パソコンなどがウイルスに感染する恐れがある。パソコンがウイルスに感染した場合には、パソコン内のゲーム用アカウントの情報が外部に流出する危険性があるという。すでに新規に発売する製品については対策が施されているが、ユーザーはまず状況をWebサイトなどで確認したい。
モバイルWi-Fiルーターとは状況は異なるが、スマートフォンでもウイルスなどに感染のリスクがあるという報道は相次いでいる。こうなると企業で導入するには何らかの対策が必要になる。そこに目をつけたのがリアルコムのセキュリティ対策設定サービスだ(関連記事:リアルコム、企業利用のスマートフォンにセキュリティ設定を提供するサービス)。
スマートフォンのパスワード設定や情報を遠隔で消去できるリモートワイプなどの機能を適切に設定する。こうした対策を施すことで、スマートフォンの利便性を生かしたビジネスソリューションがはじめてきちんと導入できるわけだ。
このほか、将来へ通じる技術やソリューションの開発に関するアナウンスもいくつかあった。
携帯電話などのモバイル機器には充電が欠かせない。しかし、携帯電話やスマートフォン、iPadやノートパソコン、デジタルカメラにPocket Wi-Fiと数が増えると、自宅で充電するのも一苦労だ。そんな面倒を解消できそうなのが、ワイヤレス給電のしくみである。電力を無線で供給できるため、ケーブルなどが不要になる上、複数の機器へ同時に給電することもできる。富士通研究所は、こうした送受電デバイスの小型化を実現する設計技術を開発した(関連記事:富士通研、携帯電話などのワイヤレス給電を2012年に実用化へ)。携帯電話などの小型の機器にも搭載できるようになり、実用化に向けて前進すると見られる。
エリクソンとモトローラは、共同で公共安全分野で次世代通信規格のLTEを適用したソリューションを提供する(関連記事:エリクソンとモトローラ、公共安全用のLTEソリューションで協業)。音声通信と動画通信などを同時に行えるLTEを使って、災害救助などに役立てたい意向だ。
ひと味違ったところでは、NTTドコモと東京大学が共同で行う街づくりの研究がある(関連記事:NTTドコモと東京大学、共同で「モバイル空間統計」を利用した街づくりの研究を実施)。これは、携帯電話のサービスを提供するために取得した現在位置や利用者の属性を統計的に利用して、人口動態を調べるというもの。時間帯ごとに、どんな人がどこに多く集まっているかを分析して、公共施設の役割の見直しなどに役立てる。人口動態を調べる新しい手法として、多くの用途に展開できそうな技術だ。
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