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[2013年第15週]災害用音声お届サービスの相互利用が実践、980円のLTE用SIM、Google Playの詐欺アプリに注意

2013.04.15

Updated by WirelessWire News編集部 on April 15, 2013, 13:00 pm JST

週末の早朝、関西地方で震度6弱の大地震が発生したことを受け、通信事業者は安否確認のためのサービスを提供している。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。この週の新サービスでは、月額980円で最大112.5MbpsのLTEサービスを利用できるNTTコミュニケーションズの「OCN モバイル エントリー d LTE 980」が注目。またマカフィーがGoogle Play上に詐欺アプリが多く確認されていることを報告し、注意を喚起している。

まずは地震関連の情報から。4月13日午前5時33分ごろに発生した淡路島地震に伴い、通信事業者各社は被災地域の方々の安否確認手段として「災害用音声お届サービス」と「災害用伝言板」を提供している。音声メッセージをパケット通信で送信する「災害用音声お届サービス」は、4月1日から事業者間での相互利用が可能になったばかり。早くも実際に利用されることになった。

また、この地震に伴い、KDDIでは関西地方の一部地域で音声通話が利用しにくい状況が生じていたとアナウンスしている。この状況は復旧済みで、地震による通信設備への影響はなかったという(発表資料:淡路島付近を中心とした地震の影響について(復旧報:4月13日 06時30分現在))。

980円のLTE、スマートデバイス決済が電子マネー対応、医療用無線開発

この週にあった新サービス、新技術の発表から注目されるものをピックアップしていこう。まずはNTTコミュニケーションズ(NTTコム)の低価格SIMのニュース。NTTコムは、月額980円でLTEの高速データ通信サービスを利用できるSIMパッケージ「OCN モバイル エントリー d LTE 980」を発売した。1日ごとに30MBまでは、下り最大112.5Mbpsと速度制限なくNTTドコモのLTEエリアでデータ通信を利用できる。30MBを超えると100kbpsに制限される。Amazon.co.jpでSIMパッケージとして販売する。SIMパッケージ購入費用は3150円、月額基本料は980円でLTEのデータ通信サービスを利用できる(関連記事:NTTコム、月額980円で最大112.5MbpsのLTEデータ通信ができるSIMを発売)。

法人向けのソリューションでは、フライトシステムコンサルティングが新しい決済端末を発表している。それが、モバイル端末を活用した決済ソリューション「ペイメント・マイスター」で使う新しい決済装置「Incredist」(インクレディスト)。Incredistを使うことで、スマートデバイスでクレジットカード決済のほか、J-Debitや電子マネーといった日本独自の決済が可能になる。イベント会場の売店などの臨時の場所の決済や、保険外交員や訪問修理員などによる出先での決済で、決済手段の幅を広げたサービスを提供できるようになる(関連記事:フライトシステム、iOS端末でJ-Debitや電子マネー決済が可能な決済装置を発売)。

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技術の開発の話題を2つ紹介する。富士通は、医療現場で各種センサーから計測器に無線で情報を送ることが可能になるメディカル・ボディ・エリア・ネットワーク(mBAN)の試作無線機を開発して、国内で初めての実証実験を実施した。mBANは、IEEE802.15.6として2012年2月に標準化が完了した医療用途に特化した通信規格。心電や脳波、血圧、体温などのバイタルチェックがケーブルレスでできるようになり、医療の質の向上に貢献できるとしている(関連記事:富士通、医療現場の無線化を進める「mBAN」の国内初の実証実験を実施)。

NTTドコモは、クラウドサービスの応答時間を最大50%短縮するサーバー管理技術を開発した。新技術の特徴は、サーバー仮想化技術を利用せずに物理サーバーを活用することによって応答時間を高速化できること、利用状況に応じて仮想化サーバーと物理サーバーのクラウド基盤を切り替え可能であること--など。NTTドコモは、ソースコードを業界団体の「OpenStack Foundation」へ提供し、「OpenStack」の最新版「Grizzly」の標準機能として導入されているという(報道発表資料:クラウドサービスの性能を向上させる新技術を開発)。

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Google Playで広がる詐欺アプリ、スマホ速度調査はソフトバンクに軍配

この週にアナウンスされた業界横断的なトピックを2つ紹介する。1つは、スマートフォン向けの詐欺アプリのニュースだ。マカフィーは、日本のGoogle Playでワンクリック詐欺の亜種アプリケーションが急増していると報告している。4月4日〜10日の6日間で合計120件以上のワンクリック詐欺亜種アプリケーションが新しくGoogle Play上で発見された。さらにマカフィーは、上記の詐欺アプリよりも危険な機能を持つ亜種アプリの存在を確認した。この亜種アプリはスマートフォン端末ユーザーの「Googleアカウント名」(Eメールアドレス)と「電話番号」を取得し、攻撃者のリモートサーバーに送信、データベースに保存する動作を行う。Google Playのアプリであっても、必ずしも安心して使えるとは言えない状況になってきた(関連記事:Google Playでワンクリック詐欺アプリが急増、個人情報を取得するアプリも--マカフィーが注意を喚起)。

もう1つは通信速度の調査。MMD研究所(モバイルマーケティングデータ研究所)は2013年3月下旬に実施したスマートフォンの通信速度調査の結果を公表した。それによると、全国主要都市におけるスマートフォンの通信速度はAndroid、iPhone 5ともにソフトバンクモバイルが最も高速だった。Android端末を使った調査の結果を見ると、全国平均のデータ通信速度はソフトバンクモバイルが2位のKDDIに7Mbps近い差をつけて1位となった。iPhone 5を使った調査でもソフトバンクモバイルはKDDIに1Mbps以上の差をつけた(関連記事:スマホ速度調査はAndroid、iPhone 5ともにソフトバンクが優位--MMD研究所)。

横浜市営地下鉄が携帯エリアに徳島大学はUQと連携

最後に、サービスエリアに関連するニュースを2本紹介する。横浜市交通局と、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの携帯電話事業者3社は、横浜市営地下鉄ブルーラインとグリーンラインの一部区間で携帯電話サービスを開始した。横浜市営地下鉄のトンネル内における携帯電話サービスの提供はこれが初めて。利用できるようになったのは、「ブルーライン」のあざみ野駅〜新羽駅間、「グリーンライン」の中山駅〜センター南駅間。2013年中に全線でのサービス開始を予定している(報道発表資料:横浜市営地下鉄のトンネル内で携帯電話が利用可能に)。

UQコミュニケーションズは、国立大学法人 徳島大学が運用するキャンパスネットワークとUQのモバイルWiMAXネットワークを接続して、大学専用WiMAXサービスの提供を開始した。徳島大学の在学生や教職員は、キャンパス内だけではなく、外出先や自宅など全国のWiMAXエリアで学内情報や各種コミュニケーションサイトなどのイントラネット環境を利用できるようになる。UQと大学ネットワークの連携は慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスや京都大学、九州大学などで提供されているが、四国では初めてだ(報道発表資料:徳島大学キャンパスネットワーク向けWiMAXサービスの提供を開始)。

学術情報ネットワーク(SINET4、サイネット・フォー)
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