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フランステレコム、中東・アフリカでの成長戦略にシフトか - スイスでの買収は断念

2010.06.07

Updated by WirelessWire News編集部 on June 7, 2010, 12:41 pm JST

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英ボーダフォン(Vodafone)、フランステレコム(France Telecom)、ドイツテレコム(Deutsche Telekom)、スペインのテレフォニカ(Telefónica)、テレコムイタリア(Telecom Italia)など、ヨーロッパ各国の通信事業者は世界展開に熱心だ。

たとえばアルゼンチンの携帯業界にはスペイン、イタリア、アメリカの事業者が、またブラジルにはスペイン、ポルトガル、イタリア、メキシコなどの事業者が直接または間接的に参入しており、大航海時代や列強の時代を思わせるような覇権争いを繰り返している。

欧州の通信事業者は、自国市場での成長鈍化や競争激化による料金水準の低下、すなわち収入の減少という問題に直面している。彼らにとって、成熟市場のヨーロッパから新興国の成長市場に地歩を固めておくことは、ユーロ諸国の不安定な経済状況に対するリスクヘッジという側面だけでなく、中長期的な生き残りにとって不可欠な戦略ともいえる。

フランステレコムでは今年4月に、スイスにおいて子会社のオレンジ・コミュニケーションズ(Orange Communications)をサンライズ(Sunrise)と合併させ、首位のスイスコム(Swisscomm)の牙城を切り崩そうと試みていた。だが、スイスの規制当局はこの合併案を却下。それに対して、フランステレコムはその後も別のスイス企業を巻き込む策など、何とか活路を見出そうと努力していたようだが、けっきょく不発に終わったようで、先週になって正式に敗北宣言を行った(それにあわせて、同社はスイス連邦行政裁判所に対して行っていた申し立ても取り下げた)。

この件を受けるかのように、フランステレコムの新CEO、ステファン・リカルド(Stephane Richard)氏は地元紙La Tribuneに対し、同社が新興国--特にアフリカの買収ターゲットを探し始めたことを明らかにした。同社はかつて、中東とアフリカ各国で携帯通信会社を運営する新興の通信事業者ザイン(Zain)から、アフリカでのオペレーションを買い取る交渉をしていたが、金額面で折り合わなかったとのこと。また、今後の買収の標的としては、エジプトのオラスコム・テレコム(Orascom Telecom)など数社の名前が候補に挙がっているようだ。さらに、インドの通信事業者バーティ・エアテル(Bharti Airtel)がザインから買ったアフリカのオペレーションについても、あらためて食指を伸ばす可能性があるという。

【参照情報】
France Tel chases emerging-market buys (Reuters)
France Telecom, TDC declare Swiss merger dead (Reuters)
スイス当局、オレンジによるサンライズの買収計画を却下 - オレンジは戦略見直しへ
インドのバーティ・エアテル、ザイン・グループのアフリカ事業を正式に獲得--買収総額は107億ドル

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