ケニアのサファリコム(Safaricom)が地元の固定無線データ通信会社のIGO Wireless社と、ASP(アプリケーションサービスプロバイダ)であるInstaconnect社を年内に買収し、サファリコムのデータ通信事業を強化すると発表した。
同社はさまざまな革新的取り組みをすることで名高い企業であり、2007年には携帯電話を使って家族などに送金できるM-PESAサービス(世界初)を開始。現在は利用者数約1,000万に達している。
2009年8月には背面に太陽電池パネルを実装し、8〜15時間で充電できる"Solar ya Simu"という携帯電話機(中国ZTE製)を発売。同時期にPacket Stream Data NetworksというWiMAX事業者を買収している。今年4月には4Gのテスト計画を発表しており、LTEを採用するのではないかと言われているようだ。
また、6月21日にロンドンで開催された2010年アフリカビジネス賞(African Business Awards 2010)で、サファリコムは携帯電話会社分野で、ナイジェリアのGatewayやGlobacom Mobile、エジプトのMobinil、ガーナのTigoなどの中からトップに選出された。収益性や市場シェアだけでなく、イノベーションや草の根レベルの変革も評価対象とのことだ。
サファリコムは独占的通信事業者だったKenya Posts & Telecommunicationsの一部門から1997年に独立し、前払い(プリペイド)の携帯電話サービス(GSM)を前提に低所得層を主たるターゲットに成長して、携帯加入者数のシェアは79.0%(2009年)に達している。最大株主はイギリスのボーダフォンで、2007年には3Gライセンスを取得している。
サファリコムのライバルはZain Kenya、Econet Wireless Kenya、テルコムケニア(Telkom Kenya)などである。その中で元国営のテルコムケニアは固定電話事業については独占していたが、携帯に関してはサファリコムの後塵を拝している。同社は現在、フランステレコム(France Telecom)が株式の51%を保有しており(残り49%はケニヤ政府保有)、2008年9月からはオレンジ(Orange)のブランド名でサービスを提供している。
テルコムケニアは3Gライセンスを取得するため、政府に支払うべきライセンス料を、株主である政府から借り入れるのではないかと報道されている。しかし、3G市場で先行するサファリコムに迫るには遅きに失したのではないだろうか。
【参照情報】
・Kenya's Safaricom seeks to buy two local ICT firms
・JETRO アフリカ成長企業ファイル:サファリコム
・ケニアのサファリコムが4Gテストを計画 - LTEを採用か
・Kenya: "Solar ya Simu"" a solar powered mobile phone
・Safaricom Acquires Packet Stream Data Networks
・Kenya mobile firm clarifies SIM registeration
・Safaricom tops in African telecoms firm of the year
・Telkom Kenya gets shareholder loan for 3G licence
・ケニア、タンザニア、ウガンダ及びスーダンの携帯通信市場について
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